内容説明
90年代初頭の日本帝国。名門勁草館高校で連続する惨劇。子爵令嬢修野まりに託された数列の暗号を解いた奥平が斬首死体となって発見される。報復と解明を誓う古野まほろら吹奏楽部の面子のまえで更なる犠牲者が!本格と幻想とSFが奇跡のように融合した青春ミステリ。第35回メフィスト賞受賞作。
著者等紹介
古野まほろ[フルノマホロ]
11月25日生まれ。第35回メフィスト賞を受賞した『天帝のはしたなき果実』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みや
39
読書会紹介本。高校の吹奏楽部員たちが級友の殺害事件を推理合戦するミステリ。独特なルビと膨大な蘊蓄が並ぶ衒学的文章に苦戦しつつも、怒涛の情報量に攻められるのは心地よくて、読んでいない時、この濃度が無性に恋しくなる。軽いノリと青春要素は苦手だが、個性溢れる文体のおかげで楽しく読み切った。文字に埋もれて主軸を何度も見失うし、会話も暗号も結末も大半が理解できなくて己の馬鹿さ加減に情けなくなる。それでも得られる読後の満足感は、唯一無二の快楽だった。惜しむらくは、この熱量に応えられたであろう15年前に会いたかった。2018/11/13
中玉ケビン砂糖
38
「メルド! メルド! メルド!」 「剽窃騒動」で絶賛激怒中の著者だが、ああそんな人もいたなあと思ってデビュー作を手に取る。正直なところ、京極夏彦とか森博嗣とか、好みの分かれる作品が現れてしまうのは、仕掛けの論理性を重視せざるをえないミステリの性である、というべきか。それにしても情報量の多さたるや、まるで澁澤達彦のごとき重厚な世界観と博覧強記さは、羨望を飛び越えてすでに嫉妬の念にまでいたってしまう。ただ、絢爛華美なだけで登場人物たちが何を言っているのか何をしているのかさっぱりわからない。2014/11/09
朝比奈さん
23
御矢→孤島と読んでからの果実。最初は青春群像だったのか。3作目ともなれば語り口にもだいぶ慣れてきて。「うげらぽん」はしっかり伝染し、家人に「変な口癖ついたね」といわれる始末。めるど。2作目以降から読んだということはつまり、彼女の正体を知って読んでいるということで。あら、上手く化けでいるわねと。これらがいわゆる「旧約」なんですね。「新約」・・・全面改訂されているの??うわぁ、入手に走るんだろうな、自分。2013/03/03
藤月はな(灯れ松明の火)
23
文庫の新訳版と読み比べるため、再読。情景描写や人物関係などが大分、違っていて驚きました。新訳より旧約の方が好みです。主人公のまほちゃんの中二病ぶりと怠惰、偽善者ぶりも控えめで初読時に彼に殺意を抱いた時は私もまだまだ、若かったのだなと思いました^^;2011/11/11
しろ
20
☆8 けっこう好きな系統だ。ある意味で三部構成になっている気がする。序盤は青春と音楽全開だし、中盤からはしっかりとしたミステリになっていて、終盤はオカルト風になっている感じ。文体とかは全然気にするほどではなかったし、むしろ、こういう衒学的でけれん味ある文章は好きな部類だから面白い。肝心のミステリ部分もわかりやすく、かつレベルの高いもので、推理合戦もあるので読み応え抜群だった。ただ、男子も女子も強い個性があるんだけど、どうも似ていた気がする。まあこれは、他の作品も絶対読みたい。2011/01/10