内容説明
右近の証人出廷によって、銀行の危機管理の拙劣さが明るみに。また、偽証の横行、印鑑偏重主義など、裁判制度の限界も露呈される。そこへ金融被害問題に強い関心を持つ国会議員が登場し、事態は一気に打開されるかに思われた。ところが、事件の裏には複雑・奇怪な真実が隠されていた―。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学修士(中東研究科)。銀行、証券会社、総合商社勤務を経て、2000年『トップ・レフト』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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B-Beat
19
◎上下巻一気に読み切った。題名から受ける印象以上にバブルに踊った銀行とその顧客や周辺の人々の言わば「なれの果て」が、そんな時代・状況に巡り合うことになった主人公を通じて鮮烈ながら淡々と描かれていたような。主人公と同様に抱いたバブルの霧に覆われた数々の謎も物語の結末近く段々と顕わになっていく展開も見事というか。この作家さん、恐るべしという感じ。本というのは読み手の思いとか状況で人には言えない感動を与えるものだと一人よがりの余韻に浸る。2014/02/27
ペトロトキシン
11
誰が読んでも銀行側に非があるとしか思えないのだが、裁判になるとこんな結果になってしまうのね。嘘ついてもバレなければOK、そして印鑑偏重主義な日本の司法に悲観してしまう。この小説では悪者の銀行を成敗したのは、結局は司法ではない。そこのところはモヤモヤした感じで、勧善懲悪のスッキリ感は何だか薄い。あと本来なら応援すべき宮入治の性格がどうしようもなくて、応援する気力が削がれてしまうのもスッキリしない原因なのかな。2014/12/14
terukravitz
5
図書館本★☆☆☆☆2014/07/21
Gusuku
2
交渉する際の会話のやりとりが面白いし、タメになる。「相手の質問の真意がわからない時は、確実なことだけを述べる」など。 香港で、プライベートバンクのスイス人とのネゴシエーションがハラハラ。あのカネを取ったのは、、、2021/01/21
たに
2
★4 現実に起こったような、また、筆者の実体験か願望が記されたような内容だった。黒木氏は銀行時代によほど色々と感じる事があったのだろう。不信感が端々から滲み出ていた。内容としては、紆余曲折あり、専門用語が多々使用されている為少々時間がかかったが、まずまずだった。バブル期の銀行の暗部が窺い知れる。但し、金融と言うより裁判小説か。最後はちょっと…2015/09/13