内容説明
バブル最盛期に行なった脳梗塞患者に対する巨額の過剰融資で訴えられた大手都市銀行は、元行員の右近祐介にすべての責任を負わせようとする。右近は我が身に降りかかった嫌疑を晴らし、銀行の巨悪を告発するべく、証言台に立つことを決意。マスコミと有能な女性弁護士の協力を得て、全面対決の構えをとった。しかし、銀行は組織の体面にかけて、なりふり構わぬ戦いを挑んできた―。モラルなき銀行の実態を暴く超一級の経済ミステリ。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学修士(中東研究科)。銀行、証券会社、総合商社勤務を経て、2000年『トップ・レフト』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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B-Beat
19
◎著者経歴により物語に出てくる都市銀行のモデルがどの銀行であるかは想像に難くない。その銀行は高杉良作品の「金融腐蝕列島」で舞台となった銀行でもある。そんな設定のもと、ある在米投資銀行社員の主人公が元勤めていた銀行の裁判騒動に翻弄される姿を描く。かつての上司や同僚、顧客や弁護士そして家族などとのやり取りはリアル感に満ちており簡潔な言い回しながら迫真性は高い。ある意味池井戸さん以上の作家がここに存在していたと。「冬の喝采」はこの著者にとって傍流の作品だったか。この流れこそ著者の本流か。引き続き下巻へ。2014/02/24
ペトロトキシン
11
経済小説なのかと思って読み始めたので、経済の話よりも法廷での話が中心になっていると知って面食らった。若干話に入り込めなかったのは、小説の中に出てくるお金の単位が大きすぎて、庶民感覚しか持ち合わせていない私には「ふ~ん、あるところにはお金ってあるんだね」という気分になってしまったからであろうか。右近という苗字なのか名前なのかハッキリしない人が一応主人公なのだが、妙に疎外感が強いのは何故なのだろう………2014/12/12
terukravitz
5
図書館本★☆☆☆☆2014/07/17
Gusuku
2
サスペンスみたいに、謎の伏線が張り巡らされている。法廷闘争がメインですごくハラハラ面白い。2021/01/21
y_u
2
80年代後半のバブル期、高いノルマを達成するために、不法な貸し込みに手を染める。バブル崩壊後、そのツケは重くのしかかり、2000年代初めまで貸し込みの被害者はもちろんのこと、犯人である銀行も大きく苦しむ。自らの非をかたくなに認めたくない銀行の一部はなりふり構わぬ行動を起こしてしまう。貸し込みの被害者に訴えられた銀行は退職した行員である右近にすべての罪をなすりつけ、裁判でうその証言を続ける。右近はニューヨークで勤務していた。自らの潔白を証明するために穏便に解決しようと元上司の顧問に働きかけるが。下巻に続く。2016/09/21