水の繭

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  • サイズ B6判/ページ数 210p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048733786
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

母と兄、そして父までも、わたしをおいていなくなった。もう家族じゃない―。とめどない孤独をぬぐいきれず、気だるい日常を送っていたとうこのもとに、ある日ひょっこり転がりこんできた従妹の瑠璃。心にぽっかり穴を抱えながらも、とらわれない豊かな個性をもった人たちとのめぐりあい、つながりあいを通じて、かじかんだ気持ちがしだいにほころんでいく、少女とひと夏の物語。

内容説明

母と兄、そして父までも、わたしをおいていなくなった。もう家族じゃない―。とめどない孤独をぬぐいきれず、気だるい日常を送っていたとうこのもとに、ある日ひょっこり転がりこんできた従妹の瑠璃。心にぽっかり穴を抱えながらも、とらわれない豊かな個性をもった人たちとのめぐりあい、つながりあいを通じて、かじかんだ気持ちがしだいにほころんでいく、少女とひと夏の物語。

著者等紹介

大島真寿美[オオシママスミ]
昭和37年名古屋生まれ。平成4年、「春の手品師」で第74回文学界新人賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tokotoko

47
とっても濃厚な家族小説。登場人物達の性格や思いがつかみやすい。自分に近いところがあるのかな?だから、読み進めるうちに、自分も家族の一員になって、いろんな体験を共にして、読み終わる頃には、ちょっぴり前に進んだような気持ちになった。そっと応援してくれる言葉が所々で光っている。人により拾う言葉は違うだろう。私は、とうこの父の言葉が心に残る。「見極める目を濁らせるな。いつも澄んだ目を持ち続けて、こっちの方がいいな、ましだなと思う方へ移動して行け」。止まってしまいそうな時、選択肢を広げてくれる力強い言葉です。2013/09/22

yumiko

28
母と双子の兄である陸と別れ、父と共に暮らすことになったとうこ。父を突然の死で失った時、彼女の時間は止まってしまう…。自分だけが取り残されてしまったという思い。それは自分だけが抱えていた思いではなかった。従姉妹の瑠璃、ご近所の茂さんと遊子さん、セージくん、祖母、そして再会した陸。ひと夏の人々との触れ合いの中で、そう気づくことができた時、彼女の時間は再び静かに動き始める。小さな出来事、小さな会話で、ゆっくりと彼女の心が癒され再生していく様子を、柔らかく描いた大島真寿美の佳作。題名を美しく表現した装丁が素敵。2014/08/27

メイ&まー

15
初めて読む作家さん。離婚によってわかたれた男女の双子とそのいとことカフェをはじめようとしているカップルと。あんまり青臭かったりきらきらしすぎると鼻白むような設定だけど、そんなことはなく文章が好みで読みやすかった。ちょうど水の膜につつまれているようにぼわぼわと響く声を聞いているような。読み終えてもやっぱり遊子さんと茂さんはなんとなく得体のしれない感じ。とうこの予感通り、勝手に居ついちゃったひとたちだったりして。2014/09/25

うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)

12
父親が亡くなったことをきっかけに無気力になってしまった主人公・とうこ。そんな彼女の所に従妹の瑠璃が転がり込んできて・・。彼女達のひと夏を描いた物語。読了後は軟らかくて温かなものでふんわりと包まれたような、とても穏やかな気持ちになりました。★★★★2009/08/10

キラ@道北民

11
家族の物語。離婚から父の死まで決して幸せな境遇ではないけれど、周りの見守る存在に恵まれているとうこさん。苦もなく、補い合うのはやっぱり身内なんですね。そんな繭にくるまれた様なとうこさんの再生は、希望に溢れて見えて、心地よい読後感でした。2015/05/17

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