内容説明
植物写真家・猫田夏海は、ボトルに入っていたフロッピーディスクを拾う。そのディスクには、未確認生物を調査探索するサークル「ウルトラ」の一行が、沙留覇島という島に調査に向かい遭難した顛末が記されていた。驚くべきことに沙留覇島とは、「人魚」が棲み、幻の鳥と言われる「朱雀」が舞い、謎の仙人が人を欺く、空想上の生き物が現実にあらわれる島だった。猫田は、鳶山と高階の三人で、不思議の詰まった島・沙留覇島探しの旅に出るが―。生物観察を日々続ける著者が生みだした、ミステリに新しい流れを作る、驚天動地の力作。
著者等紹介
鳥飼否宇[トリカイヒウ]
本名鳥飼久裕。1960年福岡県生まれ。九州大学理学部卒。出版社勤務を経て現在フリー
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
59
『中空』に続く観察者シリーズ第2弾。蓬莱と呼ばれる島へ人魚を求め旅立ち、そして失踪した大学のサークル部員達。彼等が海へ流した日記を拾った猫田は鳶さんと共にその島へ。日記に書かれていた事は真実なのか、人魚は実在するのか?面白かったです。興味の惹かせ方、読者の嵌め方、タイトルの秀逸さ、一味違いました。次作にも期待です。2017/12/25
ゆう
30
図書館本。観察者シリーズ2作目。大学のサークル部員たちが人魚を探すため孤島へ、そして行方不明に。部員が書いたと思われる日記のフロッピーが流れ着き、見つけたのは猫田。むむ…なんだか読み進めるごとにこんがらがっていったけど、よくよく読むと確かに鳶さんのおっしゃる通りなのです。なるほどなぁ。それにしても人魚それかぁ!2017/05/09
あっちゃん
26
大学生のサークル一同が孤島にて人魚を探す活動中に…主人公は海で見つけた手紙で、それを知り調べ始めるが彼らは、まだ帰って来ていなかった!後半は、誰が誰やら(笑)自分で考えるのを諦めて作者さんに乗せられて読了!内容が過去話なので、孤島のどきどき感は少なかったけど、孤島ならではの展開で(警察が介入しない)満足!2015/11/01
カラシニコフ
9
手記の読みにくさはとにかく、言葉に対する執着のすごさは感じた。トリックとか蘊蓄はまあ平均レベル。ドカンとなんか、頭を殴られるような衝撃、一発を期待したのだが。 ★★★☆☆2019/03/17
Taka
8
定期的に摂取したい鳥飼ワールド。未確認生命体を追うサークルの面々が行方不明になった。猫田が拾った日記に記された孤島で起こった出来事とは。人魚と朱雀とツチノコと仙人は存在するのか。島で起こった殺人、転がる遺体、生きているのは誰なのか。観察者鳶山の答えとは。日記を手がかりに、何が誰がを推理して行くのは爽快。遺体は見事に工作され、生きているのは叙述結局誰が騙され、香り付けに人肉食の真実が入り、最後には殺人犯の真実が明かされ最期の一人に救いがある。色んな要素が満載の一冊。同名人馴れジュゴンと中国朱雀とツキの子。2021/11/18