内容説明
あいつは地の底から帰ってくる。日本列島が無気味な震動をくり返しついに、キング・オブ・モンスター・ゴジラが三原山の火口から甦った。日本は再び核が生んだ巨獣に滅ぼされるのか?―一方、芦ノ湖には巨大植物ビオランテが出現。それは、不死身のゴジラ細胞がバラの遺伝子と融合して生まれた、驚異のバイオ怪獣であった。核とバイオ―人類が生み落としたふたつの巨大な力は、その狂気を増殖させて、我々の前に迫ってくる。2大怪獣の前に、人類はなすすべもないのか―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まえすとろ
23
1989年に公開されたゴジラ映画17作『ゴジラVSビオランテ』のノベライゼーション。原案を一般公募で募集し採用された小林晋一郎氏原案による準備稿を元に描かれ、完成した映画とは異なる展開は自衛隊の対ゴジラ兵器「スーパーX2」が『アングラー』と呼ばれる大出力広角レーザー砲を装備する≪空中戦艦≫で登場。ゴジラに立ち向かう新怪獣ビオランテも熱線を吐き、単身ゴジラに挑む自衛官の権藤一佐や白神博士も死亡せず、読み物としてのビジュアル演出で愉しめる要素が盛り込まれた250ページはお茶漬けのようにサラサラと読める。 2015/03/31
まえすとろ
23
1989年公開のゴジラ映画17作目のノベライズ。84年のリメイク版の続編にあたり、ゴジラは核エネルギーを食べる怪獣として新たに設定されており、ゴジラの遺伝子を改良して核エネルギーを食べるバクテリアを造りだしゴジラの対抗策にするも、その技術で新たな怪獣をも生み出してしまうというバイオテクノロジーという「科学の誤用」に対する警鐘をサブテーマに置いた意欲作。愛娘を生かしておきたいという個人的な欲求から、自らの技術でゴジラ以上の怪獣を作り出してしまう生物学者、白神博士が主人公のミステリーサスペンス仕立ての展開。 2015/01/12
まえすとろ
16
1989年に公開された新ゴジラシリーズの2作目は原案を一般公募で募集した結果『帰ってきたウルトラマン』第34話「許されざるいのち」の原案者である歯科医であり特撮作品のファンである小林晋一郎の作品が採用され、敵対怪獣ビオランテのデザインはゴジラマンガの同人作家『ゴジラ伝説』の著者、MASHこと西川 伸司、自衛隊の超兵器「スーパーXⅡ」、「92式メーサー戦車」などのメカデザインをSFメカデザイナーでありモデラーとしても著名な横山 宏が手掛けるなどゴジラ映画としてビジュアル面でも一新された意欲作。 2014/07/03
活字スキー
14
89年に公開された劇場映画のノベライズ……で、いいのかな?四天王寺さんの古本市にて、確か公開当時、親戚の子と一緒に京都の映画館で観たのを懐かしく思い出しながら購入。決戦の地が地元に近い若狭の原発地帯ということで当時はただ無邪気に「おおー」としか思わなかったのが、あれから随分と歳を重ね、3.11を経験した後ともなれば色々と感じ入るものも少なくなかった。核によって生まれたゴジラと、発展著しいバイオ技術によってゴジラ細胞から生み出された植物怪獣の戦いは単なる「怪獣プロレス」では済ませられない。2018/05/02
まえすとろ
4
1989年に公開された『ゴジラVSビオランテ』のノベライゼーション。初代ゴジラが原爆の乱用に対する警鐘をテーマに置いたことを踏まえ、今作のテーマには遺伝子工学の誤用における危機と恐怖をその本質に置いている。小説版では人間側のドラマと心理描写にその重点が置かれ、個人的な欲求により自らの技術でゴジラ以上の怪獣を作り出してしまう天才生物学者、白神博士の視点で描かれた全編ミステリーサスペンス仕立ての展開となっている。過去に刊行されたゴジラ映画のノベライズ作品と比べて構成もヤングアダルト小説として完成さている。 2010/08/05
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