内容説明
若きエリート検事霧島三郎は、弁護士の娘竜田恭子との結婚を間近にひかえていた。ところがその父、竜田慎作に愛人絞殺、加えて麻薬所持の疑いがあるというのだ!?“検事の妻が殺人犯の娘であってはならない―”苦悩する三郎をよそに続発する第二、第三の殺人。失踪する竜田の捜索は病的な麻薬中毒者の世界へと広がる…。検事の活動とその人間葛藤を具に描き出した社会派推理の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
39
天才神津恭介で知られる高木彬光氏の法曹界物です。主人公霧島三郎は、期待される若き検事ですが、どちらかと言えば大卒の久利生検事タイプです。婚約者の父親が失踪し、生きていれば容疑者で亡くなっているなら被害者だという追い詰められた状態です。婚約者と結婚するには、自分と身内の無実を証明しなくてはならない。久利生検事と同じく、じわじわと納得できる迄検証し真相に近づいていく手法は検事物語の特徴です。ペリー・メイスンも同じで世界では圧倒的に好まれるのに、日本ではTVドラマにしないと認めて貰えないのは大変残念です。2014/08/10
kagetrasama-aoi(葵・橘)
15
高木彬光作品、登録第一作目。検事霧島三郎シリーズ、第一作目。リバイバルコレクションではなくて、古い角川文庫本ですが、こちらで登録。このシリーズは高木氏の円熟期に書き始められたと言われているだけに、傑作と言えると思います。解説の夏樹静子氏曰く「本格派の謎と社会派のリアリズム、加うるに文学的ロマンチシズム」。展開に目が離せません!横溝氏の作品のように高木氏の作品も再ドラマ化して、お若い方たちが手に取るきっかけを作って欲しいです。2019/06/10
うえぴー
15
初・高木彬光。半世紀前の作品とは思えない熱量。若き検事・霧島三郎が冒頭から大ピンチ! にブッ込まれる展開に、ページをめくる手が止まらない。婚約中の恋人・竜田恭子の父、慎作が愛人を囲っていた? その愛人が殺されて、慎作が失踪! しかも覚醒剤使用疑惑も! つか慎作って弁護士だし、全国指名手配されちゃったし、俺の結婚話はどうなるんだ! ってな具合に、どんどん悪い展開になっていき、ラストで意外な展開を見せます。中ダレしそうな場面もありますが、読者を振り回し、長丁場を読ませる力は並々ならぬものがありました。2015/11/05
Alaskans
3
婚約者との結婚を控えるある日、彼女の父が謎の失踪を遂げる。麻薬所持と殺人の疑いをかけられ…というサスペンス色濃厚な一篇。「白昼の死角」ほど変化に富んではいないがリアリティがあり、しっかりとした検証を踏まえて謎を解き明かす活動に、探偵物にはない実直さがある。婚約者との心の結び付きを描く文体が秀逸。地味という声があるがそれは検事物の面白さを判っていない読者だろう。傑作の部類と思う。 2015/11/01
tai65
1
星3・52018/11/25
-
- 和書
- 大きなボク小さなわたし
-
- 和書
- 幸せに死ぬ義務がある