内容説明
重松清が時代を超えて読み継がれる12の名作を選び、全国の読者が朝日新聞紙上で感想を寄せ合った。『斜陽』『坊っちゃん』『あ・うん』『砂の器』などをどう読む?子どもと感想を競うお母さん、遠距離介護をしながら読んだ人など、参加者は12歳から97歳まで投稿総数は1万3000通におよぶ大読書会。
目次
太宰治―斜陽
深沢七郎―楢山節考
向田邦子―あ・うん
夏目漱石―坊っちゃん
大岡昇平―俘虜記
幸田文―おとうと
松本清張―砂の器
内田百〓(けん)―ノラや
宮沢賢治―銀河鉄道の夜
川端康成―雪国
開高健―オーパ!
三島由紀夫―金閣寺
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒。出版社勤務を経て執筆活動に入る。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うりぼう
114
読書メーターのコメントを読んでいるような感じ。さすが朝日新聞、1冊1ヵ月で1000通前後の感想が集まる。百年読み継がれる本は、多様な読み方ができる。そこには、読者の人生経験や思想が反映され、同じ時代を生きた人達でも全く正反対の意見が出るのが面白い。既読の本は数冊で、名作、文学作品を読んでいない自分が露呈する。でも、重松氏の取り回しで、未読でも十分に楽しめる。セイゴウ先生の読書は、本と読者のコミュニケーションであることがよく判る。「あ・うん」の呼吸が、合うと心に残る。13000通を読んだ重松さん、お疲れ様。2010/08/05
珂音
16
取り上げられてる本で既読は6篇。開高健の「オーパ!」は好きでした。釣りの趣味なんかないのにね。 与えられたお題(課題図書)に対して一般の読者が感想を送ってきてそれを編者がまとめてます。この本を読んでて既視感と言うかどっかで似たような事が・・・と思い「読メじゃん!」と!! 私達(読メユーザー)は毎日誰かと読書会してるんですね(笑)2011/10/23
たくのみ
15
重松さんがセレクトしたコメントはどれも心に響くものばかり。「社会から切り離されて、死んでゆく現在の老人たちには、辰平さんすらいない。」「死に際に、そんなに哀切で愛情にあふれた言葉を抱えて死んでいける老人はいるのだろうか。」俄然、読みたくなる「楢山節考」。読み手によって180度意見が違う、という「あ、うん」。体験したが故の重い沈黙、の「俘虜記」。努力し、苦労し、失敗し、笑い、共感し、突き進む旅行記、の「オーパ」。スルーしていた名作たちに触れてみたいという思いがわいてきました。2016/03/28
riviere(りびえーる)
13
新聞連載中に続く再読です。ある本が課題のとき投稿が採用されたため、謹呈本で読みました。400字で投稿し、掲載はたった2行!ですが重松さんの2行の選び方は天才的。あの読書会のおかげで、読書感想には正しいも間違いもないことを再認識。そして読書とは著者を含めた自分以外の人たちの思いを受けとめ自分の中で再構築する作業なのだと改めて思いました。それにしても重松さんって作家としての力量もさることながら、投稿者それぞれからわき出る小さな泉のような感想をすくい取り大河にしていくような作業がお上手!2010/08/18
ふろんた
11
取り上げられた12作のうち、内容を覚えてないのもあるけど、読んだのは4冊でした。一般読者の投稿の一部抜粋でエッセンスしか汲み取ることができなかったが、若いころに読んだ本の再読で違った感想を抱いたというものが多かったのが印象的。『銀河鉄道の夜』の感想に「書いてあることがよくわからなかった」というのが意外にも多く、なんだか安心した。2013/01/14