内容説明
ハイヒールに憧れていたが、被爆の後遺症でその夢が叶わなくなった女性。300人近くいたはずの生徒のうち、生き残った14人だけで行われた卒業式―。今も消し去ることのできない戦争の爪痕を、戦後生まれの親を持つ若手記者たちが徹底取材。31人の被爆者による貴重な体験談。
目次
あこがれのハイヒール
火葬された、ふりそで姿の少女
巡回診療班
一人芝居「命ありて」
90歳の語り部
永遠の10秒
運命の一言
捨てられた、おすそ分け
兄を焼く音
救援隊として急行せよ
14人の卒業式
父の最期
白い落下傘
沖縄の数倍の光
放射能情報のなかった沖縄
命を絶った妹
原爆の年のクリスマス
畑で見た、きのこ雲
ブラジルから日本へ
死は名誉か
在韓被爆者
燃える天主堂
今に残る傷跡
入学式に迫る戦火
川に折り重なった人々
父子二代、白血病を追う
世界に向けた被爆証言
麻痺した心
原爆投下は遅すぎた
完成した遺稿集
救援列車
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
35
心の傷を踏まえても、”伝える”意義への強い思いが1人1人から滲む。但し、時間がその傷を癒すことはないだろう。言葉では言い尽くせない極限下での一瞬、一瞬を振り返る。背負い続ける人生と、拍車をかける制度の不備と好奇の眼。それでも他者を思う気持ちに、唯々敬意。抱く子供・孫や生徒への想い、あるいは故郷長崎への望郷の念が心に響く。一方、入市や海外在住者の認定問題。妥当性検証も理解するが、スピード感をもった救済策を期待。2015/09/21
杏子
2
子どもが学校から借りてきた本なので、早く読まないと!と急いで読んだので、まだ消化しきれてないものもありますが、いろいろ考えさせられる内容です。若手記者がインタビューして書いた記事だからか読みやすく、様々な方のそれぞれの体験談を知ることができました。風化させてはいけない、との人々の思いが伝わってきます。2011/09/01
うき。
1
新聞に連載された短い記事をまとめたものなので、読みやすく平易な内容ばかりなのだけど、この連載を決めたデスクの想いに共感する。賛否両論ある朝日新聞ではありますが、内容は被爆者の方々の体験を丹念に聞き取っていて、なんらかの結論へ誘導するような内容ではありません。アサヒ嫌いな方もどうぞ。いろいろ思うことはあるのだけど、レンコンの話には悔しくて涙が出ます。2009/08/16
qualia
1
のめりこみ、拾い読み、拾い読み、行ったり戻ったりしながら目を通した。余りにのめりこむので目を傷める。読みやすいのは記者が書いているからか。これから、メディアで取り上げられる季節。読んでよかったと思える一冊です。
千
0
定期的に原爆を読む 私が子供のころナガサキにいたからだろう 平和集会で先生が話してくれた なすが熱で焼けて皮がむけて無我夢中で食べた 熱かった それだけを覚えている 年をとるごとに戦争物を読むのが辛くなってきている 多少人生を積んで、辛い経験を重ねてきたから想像の解像度が、あがってきているのかな きっと起きたことはもっともっと重くて想像の及ばないところにあるのだろうけれど 2023/04/08