内容説明
海商を育んだ福建の地で稲作文化のルーツを発見。
目次
文明交流の詩情
倶楽部
山を刻む梯田
福州の橋
独木舟
山から山へ
焼畑族
対々の山歌
雷峰を過ぐ
餅から鉄へ
天目茶碗
土匪と械闘
華僑の野と町
異教徒たち
『西遊起』ばなし
陶磁片とコンパス
泉州の出土船
イカリの話
七百年前の山中さん
夢のアモイ
厦門両天
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
60
街道をゆく、中国第3弾。門構えに虫と書いてビンと読む。こんな漢字初めて見た!なんて読み始めたこの巻。どうやら福建の古代名らしい。読み始め冒頭から福建語は日本語と「音」がよく似ている、と語学を専門とする著者の博識。北京語と音が違う理由なども添えての説明になるほどと納得。そして焼畑観の考え方も読んで変わった。焼物好きの私にとって天目茶碗の件も面白い。そして地形柄海との関りあいと繋がり。これだけの歴史をこんなに分かり易く読みやすく、そして面白く書いてくれるのは著者くらいなのかもしれない。2017/05/12
Kaz
32
司馬先生の「街道をゆく」シリーズは注意して読まないと、ストーリーの迷子になる。今回の中国 閩のみちは、福建省の旅なのだが、話としては古代中国の王朝 夏、殷、周から元、明、清まで時空の旅であり、空間的にも中国だけでなく台湾、朝鮮、モンゴル、日本の博多や平戸、堺までも駆け巡るものになっている。福建省は台湾海峡に面しているので、古くからアラビアやヨーロッパ、日本とも交易が盛んであり、大陸的な性格が強い中国の中では少し異なる気質を持つようだ。中でも泉州(ザイトン)、厦門(アモイ)は、訪れてみたい。2018/10/27
マサ
10
再読。稲作文化ということで古越は古い日本とのつながりが多いような気がして、そのあたりをもう少し掘り下げてほしいのだが。話題は転々とするようだが、中心は海を介した交流へと向かう。読むものに困るとこのシリーズに手が伸びる。2017/03/27
ランラン
8
私にとってあまりなじみがない福建省。またもや司馬さんによって掘り起こされたという感じです。福建省は古くは百越が居住し中国の体制が及んでいなかった地。新中国になり圧倒的政治優位の体制のもとでは古い文化が変えられてきた中で福建省だけが古い風習が残されている。かつては世界最大の港でにぎわった泉州(ザイトン)、魅力あふれる地の印象を残してくれました。2015/06/26
なつきネコ
8
中国の不可思議さな色合いに心が向いた。マルコ・ポーロなどが見た当時の中国が鮮やかに見えるながら、堺、泉州も今じゃ資料の中でしか輝かない事を淋しく思った。碇の鍛造やイスラム商人の冒険心には脱帽し、孫悟空の原形などが心に残る。さらには儒教一辺倒の中国の中であんな思想家がいるとは、李卓吾。彼を調べたくなった。2014/05/03