感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
176
「印度放浪」に続いて、1977年に刊行された本書は、藤原新也の初期の代表作。それにしては「読メ」には、わずかに9登録(実質的なレビューは、これが最初)とは淋しい限り。若き日の著者が、放浪先に印度を選び、そして西蔵(チベット)を選んだのは、それらの地が、日本で生まれ育った著者の価値観と対極にあるだろう地を庶幾したからにほかならなかった。たしかに西蔵には、印度とはまた別の意味合いにおいて、我々とは根底から違った人生を営む人たちがいる(というよりは大多数がそうだ)。ラマ僧たちの無為の午後には呆然とするばかりだ。2015/02/15
まっつぁん
1
これも30年近く前に読んだ本を再読。自分としては「印度放浪」と「西蔵放浪」は分かつことのできない、いわば「地」(印度)と「天」(西蔵)の章から成る一冊の本。藤原さんが『印度泥沼社会』で放浪しながら生死に向かい合って8年、泥沼の対極にあると思われた『蓮の花弁の地』西蔵へと旅立つ心境の変化が面白い。印度最後の場面での笑う髑髏、鉱物世界の西蔵の風景、時のラマ教、マニ壇に積まれた石などの一つの物、一つの景色、一つの事象などを深淵にその意味を掘り下げ、推察して、独自の世界観を真似のできない文章で表現する。凄い!!2018/05/30
カネコ
1
○2011/09/17