内容説明
中世の崩壊で天国が地上に天下って生まれた新世界アメリカ。中心を痛烈に相対化し、巨大な「脱ヨーロッパ現象」として輝かしい周辺に割拠し続ける新世界アメリカ、そしてオーストラリア。輝かしい周辺の光源「アメリカの夢」。アメリカの夢の最初の象徴となったカリフォルニア・ゴールドラッシュ。地理的周辺の消滅した今、われわれはどこに新世界を求めるべきか?
目次
第1部 ウエスト・コーストはゴールドラッシュで始まった
第2部 カリフォルニア・ゴールドラッシュのヒーローたち(50セント分の金粒を発見しただけで金発見の超能力者に祭り上げられたカリフォルニア・ゴールドラッシュの始動者ジェームズ・マーシャル;米・墨・露3国の領土争いの接点に「帝国」を築き、その一角から金が発見されたために一切を棒に振ったジョン・サッター;ゴールドラッシュで一番儲け、一番大損した男、サミュエル・ブラナン;メキシコ側の怨念を代表する盗賊ホーキン・ムリエタ;米・豪のゴールドラッシュ・カントリーを股にかけた妖婦ローヨ・モンテス;地底の富でサンフランシスコ・ルネッサンスを実現、一転自殺した投資銀行家、ウィリアム・ラルストン;空前絶後、「合衆国皇帝」を僣称した元米相場師ジョシュア・ノートン;ウェルズ=ファーゴ社に挑んだ詩人強盗ブラック・バート;銀鉱探しに失敗、一転ゴールドラッシュ・エトスの金鉱を掘り当て世界に文名を上げたマーク・トゥエイン)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
7
前半は、19世紀半ばにカリフォルニア北部で起こったゴールドラッシュの現場を回りながら、その歴史的背景や意味合いを考える紀行文。ここから浮かび上がってくるのは、カリフォルニアはゴールドラッシュが無ければ、恐らく今のような繁栄した州では無かっただろうという事。そして、欲望のリミッターが外れた地上のエルドラドとしてのカリフォルニアの生々しい歴史だ。後半は、そのゴールドラッシュに巻き込まれて破滅した者、繁栄した者など、人物伝。読みどころは、投機にしくじって発狂、「合衆国皇帝」を名乗った愛すべき狂人ノートン一世か2016/07/20
てり
2
カリフォルニアのゴールドラッシュに振り回される人びと。山師、詐欺師、強盗に踊り子に皇帝まで。なんというデタラメな世界、なんというアメリカ。2022/07/18
エリオちゃん
0
発狂して皇帝を自称し始めたノートンの話が興味深かった。 ゴールドラッシュは無駄の増幅装置。欲望ばかりが空虚に膨らむと。2022/06/30