岩波新書<br> 震災日録―記憶を記録する

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岩波新書
震災日録―記憶を記録する

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  • サイズ 新書判/ページ数 259,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004314127
  • NDC分類 369.31
  • Cコード C0236

出版社内容情報

東京で大震災に遭遇した著者は,地域誌『谷根千』での経験や関東大震災直後の記録を読んでいたことから,新聞・テレビ報道ではなかなか出てこない人々の生の声を記録することが大切だと考え,ホームページなどで発信を続けてきた.本書はそれらに加筆して,文化財を含む東北各地の被災状況をリアルタイムで伝える貴重な日録.

内容説明

東京で大震災に遭遇した著者は、地域誌『谷根千』での経験や関東大震災直後の記録を読んでいたことから、新聞・テレビ報道ではなかなか出てこない人々の生の声を記録することが大切だと考え、ホームページなどで発信を続けてきた。本書はそれらに加筆して、文化財を含む東北各地の被災状況を小所低所からリアルタイムで伝える貴重な日録。

目次

発災直後―2011年3月・九州放浪記
映像ドキュメントの伝えた3・11―3月27日脱原発デモとおにぎりにぎり隊
2011年4月―マンガと絵本を届ける旅
2011年5月―いわきに炊き出しに行く
2011年6月―津波は東京駅の屋根まで
2011年7月―谷中コミュニティセンター防災建て替え計画
2011年8月―古い建物は古い友だち―夏の石巻から丸森へ
2011年9~10月―食べ物の安全、なやむ農家
2011年11~12月―石巻復興牡蛎祭、志賀原発を訪ねて
2012年1~3月―北上のヨシ、雄勝のスレート

著者等紹介

森まゆみ[モリマユミ]
1954年東京に生まれる。1977年早稲田大学政経学部卒業。現在、作家・編集者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

32
シブい仕事だ、と唸る。東日本大震災から1年にかけて、著者はパニックに揺れる日本の「空気」に時に辟易しながら、その「空気」を記録せんと奮闘してきた。その生々しい記録は今読んでもアクチュアル。こんな雰囲気が確かにあり、こんな事件が確かに起きたと私自身のポンコツな記憶力を恥じさせられる。すべて(特に都合の悪いこと)を忘却したいという欲望は私にもあるが、こうした記録が残されてしまうとその甘さ・怠慢を指弾されているようで襟を正してしまう。いくつか著者の意見に抵抗感を抱いたが、それでもなかなか読めない記録だと思われる2022/12/23

どんぐり

31
市民運動家の森まゆみが、2011年3月11日から1年間に渡って記した震災日録。記憶を日録に残したという点ではユニークであるが、所詮東京の人が書いた本である。市民運動家が震災のことをアレコレ考え、被災地とかかわってきましたという日めくりカレンダー。作者の顔が全然見えてこないのが残念。2014/06/14

たかやん

20
「権力に対する人間の闘いは忘却に対する記憶の闘いである(ミラン・クンデラ)」本書の中で引用される言葉そのままの著者の信念あふれる、2011年3月11日から1年間の記録。避難所での人間社会にありがちなトラブルについての記述を読むと逆に安心さえします。大手メディアからアナウンスされる美談ばかり聞いていると、被災者が元々は普通の人だということをつい忘れてしまうから。2019/04/11

壱萬弐仟縁

14
極めて細かい震災直後からの地域分布と詳細な日誌。記憶、記録とは、人々の涙の壺(69頁)。確か、被災地の葬儀屋の本を読んだのを思い出したが、骨壺があればまだよく、行方不明のままの人もいる。そうした人の心の壺は空っぽではない。悔しさで埋まっている。被災者間格差というのも気になる(82頁~)。2011-12年の1年間の記録。40歳以上の人を信用しない若者が出てくるが(147頁)、俺も非正規SNEP寸前の四十路だがね。偏見はよくない。みなが正社員じゃないよ。非正規36%はいるので。硯職人(240頁)。生きる凄み。2013/08/09

浅香山三郎

13
戦争の記憶も忘れてはいけないが、震災の記憶もまた忘れてはいけない。しかし日々の生活のなかで忘れていく。一つ前の高見順『敗戦日記』でも感じたが、震災以後の様々な人の様々な意見をとにかく記録してゐるといふのが貴重だ。 森さんのスタンスには色々な意見はあるだらうが、東北の人びとのその時々の「感情」を生のコトバで書き記したのは偉い。震災6年を経て、一度は全部止まつた原発がどんどん再稼働してゐる。「権力に対する人間の闘いは忘却にたいする記憶の闘いである」(ミラン・クンデラ)といふことをつくづく実感させられる。2017/08/22

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