出版社内容情報
国旗・国歌法の制定から13年.学校には「日の丸・君が代」が入り込み,掲揚・斉唱が事実上,義務化され,それを拒否した教師たちが処分されている.教育現場はなぜ,どのように変質したのか.大阪,東京,北海道など各地で強制に抗う人びとは,何を訴えているのか.苦悩を抱えながらも良心の自由を求める教師や生徒の姿を描く.
内容説明
国旗国歌法の制定から十数年。学校には「日の丸・君が代」が入り込み、掲揚・起立・斉唱が事実上、義務化され、それを拒否した教師たちが処分されている。教育現場はどのように変質したか。大阪、東京、北海道など各地で強制に抗う人びとは、何を訴えているのか。苦悩を抱えながらも良心の自由を希求する教師や生徒、市民の姿を描く。
目次
序章 歌わせられる子どもたち
第1章 いま、大阪で
第2章 法制化一三年の攻防
第3章 良心を核に法廷へ
第4章 不服従の多様なスタイル
第5章 市民と生徒たちの抵抗
終章 「日の丸・君が代」問題とは何なのか―永井愛さんに聞く、『歌わせたい男たち』の世界と現実
著者等紹介
田中伸尚[タナカノブマサ]
1941年東京都に生まれる。1967年慶應義塾大学卒業。朝日新聞社記者を経て現在、ノンフィクション・ライター。著書に『大逆事件』(日本エッセイストクラブ賞受賞、岩波書店)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jima
15
演劇「歌わせたい男たち」が面白い。「各国の事情を調べると、学校の先生がこんなことで処分されるのは、北朝鮮は別として、日本と中国ぐらい。起立して国歌を歌わせたり、起たなかった人を処分するなどというところは欧米ではありませんでした。」2013/10/31
壱萬弐仟縁
11
なぜ、国旗や国歌は戦後、このくにではリニューアルできなかったのか。する気もなかったのか。例えば、同じ歌詞でも、メロディーを変えるという手法もあったはずだ。デザイン的には、原型をとどめつつも若干変えるとか。抵抗する教師がふつうだと僕は思う。80年代の中曽根政権下でも、今の安倍政権のような右傾化があったようだ(26頁)。国民投票をいうのなら、国旗や国歌も投票方式でよかったのではないだろうか。戦時下の記憶が思い出されるがために、デザインを刷新しておくことはできなかったのか。抵抗すると就職させないという恐ろしさ。2013/08/09
オランジーナ@
3
とても岩波らしい本でした。個人的には式典嫌いなので、ヨーロッパみたく入学式卒業式自体いらないのではないかと思いました。プロ野球も始まる前に国家斉唱するけどいらんでしょ。国際大会なら、わからんでもないが国内の試合で歌う意味がよくわかりません。君が代の歌詞の中身云々以前の話ですが。2022/04/06
うたまる
1
日の丸・君が代に抗う教師を追ったルポ。いやあ、かつてないほどのしんどい読書だった。1行読むごとに「はあ?何で?」と慨嘆し、遅々として進まない。児童への”強制”批判は無理筋(教育自体が強制性を孕んでいる)だし、小学生が思想信条を持っていることも不自然(誰かが植え付けたはず)だし、その反対の表明もマナー違反(あからさまで無礼)だ。更に言えば、その動機も稚拙。軍国時代を思い出させる、という理由が通用するなら、国旗国歌だけでなく、日本語もそうだ。日本文化も、日本人もそうだ。彼らはあらゆる日本の痕跡を消したいのか?2017/07/05
星辺気楽
1
日本人の異常行動の一つ、「みんな一緒じゃないといけない」という強迫観念。大阪や東京で起こっていることはすなわち、日本全体の問題。「国旗・国歌」は制定上の問題であり、それを強制できる根拠は何もないどころか、憲法に違反していることは必定。しかしそれを異常と思わない日本人こそ、異常。中国や北朝鮮を蔑む前にこの国のレベルの低さを嘆く必要がある。2015/05/31