岩波文庫
近代医学の建設者

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 173p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003391716
  • NDC分類 491.8
  • Cコード C0147

出版社内容情報

パストゥール,コッホにならぶ細菌学の貢献者の一人で,喰細胞説によってノーベル賞を受けた免疫学者メチニコフ(一八四三‐一九一六)が,死の前年に近代医学の発展と医学者達の思出を語ったもの.今日この分野はめざましい学問的進歩をとげているが,著者が示した医学の基本思想や学問研究の態度についての教えは瑞々しさを失っていない.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

16
1933年初出。ウィルヒョウ『細胞病理学』はドイツの碩学が著した(1858年)。彼によると、病気は障害(12頁)。ならば障害を取り除くことが治癒になる。パストゥールは結晶化学から徐々に発酵研究へシフト(29頁)。日本人の潔癖症においては、菌との共生がないので、除菌さえすれば事足れりとしてしまう。排除さえすればよい、という発想は命取り。110番通報もまた、怨恨を生むであろう。炭疽菌芽胞の大発見が、乾燥で死滅するかどうかなど研究を進展させることに繋がった(63頁)。ノロ、インフルと騒がしいご時世に必要な一冊。2014/01/23

Bashlier

12
5/5 知の系譜を読み解ける傑作。パスツール研究所に招聘されたメチニコフの医学への貢献、特に細菌学での功績が解説されます。私たち民衆レベルでは今になってようやく”菌”の重要性が意識され始めました。一方、研究活動は100年以上前にかなり先まで進んでいたことが読み取れます。そして、何より面白いのがメチニコフの知は日本の研究者代田に受け継がれ、めぐりめぐって日本の代表企業ヤクルトの誕生につながるということです。パスツール、メチニコフ、代田という3人の知の積み上げが生活へ広がっていくのです。2023/03/08

桜井晴也

2
「科学界では全く無名であったが、メキシコではある要職を占めていた一人の医者がパストゥールを訪問したとき、私が呼ばれて行ったことを思い出す。その医者はパストゥールの研究室の安楽椅子に腰かけ金時計の大きな鎖を下げて、もったいぶった様子をしていた。そして広く流行しているある伝染病の新療法の計画を説明していたが、その方法をパストゥールが知っていないのに驚いた顔をして、『メキシコでは、われわれは貴方の発見を非常によく承知しておりますのに、私の研究があなたに全然判っていないというのは不思議です』と言った。」2012/03/16

りょーた

1
かつては専ら臨床的なものに過ぎなかった医術が、化学と生物学の進歩により、近代医学へと発展していく軌跡をパストゥール、リスター、コッホの三人の医学者を主人公として概観する本です。今では常識である、発酵、腐敗、コレラ、梅毒など細菌が原因で起こる様々な現象や病気に対し、先の三人がどう考え、何をなし、何に挫折し、何が起こったのか伝記しています。人類に多大な貢献をもたらした先駆者の業績ははかり知れませんが、往々にしてそれらの業績は一朝一夕のものではないことが分かります。同時に医学に対する感謝の念が湧きました。2018/01/08

あすたりすく @本の虫

1
医学者で有名なパスツールですが、結晶の研究をしていたことや愛国者であったなど、彼の意外な一面が覗けました。現代では有名になった様々な研究成果は彼の活力を感じますね。2014/01/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/50375
  • ご注意事項