出版社内容情報
アルプスの山の子ペーターは,町の高校から都会の大学へと教養コースを進む.初恋,母の死,そしてパリ滞在は,彼を次第に人間ぎらいにしてゆく.痛む心を慰めてくれたのは,アッシジの人々の素朴なあたたかさだった.老父の病気の報を受け,ペーターは,父の代りに働こうと故郷へ帰ってゆく.ヘッセ(一八七七‐一九六二)の出世作.
内容説明
アルプスの山の子ペーターは、町の高校から都会の大学へと教養コースを進む。初恋、母の死、そしてパリ滞在は、彼を次第に人間ぎらいにしてゆく。痛む心を慰めてくれたのは、アッシジの人々の素朴なあたたかさだった。老父の病いの報を受け、ペーターは、父の代りに働こうと故郷へ帰ってゆく。ヘッセの出世作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
13
自身が創り上げた全ての物語を通してヘッセが叫び伝えたいのはただ一つ「自分自身であれ。そして自分自身という存在を探求し続けよ」ということ。青春の眩しさと熱に浮かれて抱いた夢が色褪せても打ち砕かれても、人生はそのまま続いていく。愛と諦観を忘れずに振り返り眺めてみれば、生きるという営みは輝きに満ち満ちていた。焦がれた姿に、望む場所に、どうしても至れなかった自分自身を嘆く必要はなく、立ち止まらずにまだまだ先を目指して歩いていかなければならない。最期の瞬間まで自分自身という存在の探求は続いていく。2023/05/26
にゃら
1
ヘッセらしい諦念の観がよい。ギラついてるけれどもうまくいかない、でもギラギラは残って。こないだ読んだ「春の嵐」よりも好きだった。2017/03/24
水の人
1
うむ、よい! 久々に登場した宝物本だ。何度も何度も読み返していきたいと思える本だ。ここに閉じ込められているのは、自然と人生の美しさだ。文士として功成り名を遂げることだけが成功ではない。納得のゆく生き方、着地点を得ることができるかどうか、が問題なのだ。ああ、勇気がわく。生きていくための勇気が。2011/07/05
くらぴい
0
ヘッセの本の中では一番好きな作品でした。実体験も乏しいながら似たようなものだったと感じます。
自分メモも兼ねて
0
これは、若い時あるある。冒頭の山の近くで住まう者がよく知り、行う、山に対しての描写が、都会暮らしの自分にはとても興味深く、わくわくとさせた。