出版社内容情報
愛慕する人に絶対の献身をなす可憐清純な典型的ドイツ娘を主人公として,クライスト(1777‐1811)がその若々しい夢や憧憬や情感を吐露しつくしたロマンティックな騎士劇である.この多彩な中世騎士時代を舞台とした奔放無礙な構想の面白さと,全体を流れる純情とは何人をも魅了せずにやまないであろう.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふずぃ
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ケートヒェンをちょっと妄想癖のある可哀想な子だと思っていたらどっこい、なんと皇帝の娘!シュトラールの冒頭のしらばっくれ様にはイライラきたけど、ケートヒェンの行動はどっからどう見ても恋に落ちた少女。でも、この子、はじめ、好きとか、お慕いしているとか一回も言ってない気がする。まさに行動で示したすごい子。(若干行き過ぎなところはあった。もはやストーカーだから今やったら絶対捕まる。)2013/04/23
meirokun
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ツンデレ男バージョン。シュトラールが最後の最後まで振り向かない、しかしそれによりケートヒェンの一途な熱烈たる想いが浮き出ています。やっぱり戯曲は面白い。2010/08/20
Lieu
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分裂した心の持ち主が、他者と夢を通じて結びつく神秘的な劇。構成自体もかなり分裂的な気がする。第四幕のケートヒェンの夢語りを聞いたあとで、黒子を探してシュトラールが胸掛けを外そうとする場面が、妙にエロティックである。意識している相手に夢で会った話を、その会った相手に話すのは、自分の一番裏側を見せる行為だからか。2022/05/27