内容説明
自己責任、能力至上社会、コストパフォーマンスの追求、多様性の時代、岐路に立つ平和国家…。五〇年後、一〇〇年後、平成はどんな時代として認識されるのか。同時代を生き、社会と向き合ってきた二〇~五〇代の記者たちが、中央政治や大事件からは見えてこない、平成の「素顔」を追った。共同通信・好評連載の単行本化。
目次
第1部 揺れる「人間」の価値(能力至上社会を生きる;本当の「自分」を探して;マニュアル化される「正しさ」)
第2部 「豊かさ」が失われていく社会(平和国家、続けますか?;コスパ社会の呪縛;「多様性社会」はまだか;座談会 福島創太、森山円香、税所篤快 50年後、100年後に「平成」はどう語られるのか―30歳、ともに歩んで)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しげ
3
さまざまな角度から、さまざまな視点から「平成」という時代をみることができて、とても面白かったです。同姓同名の田中宏和さんが集って、ゆるく交流を重ねる「田中宏和運動」と、そこから浮かび上がるひとりひとりの個性についての記事に、なんだか明るい気持ちになりました。わたしたちはみんな、もともと特別なオンリーワンなのだ。2022/02/14
そーすけ
3
人間を大切にしない国・日本。2019/10/21
お抹茶
1
連載をまとめたもので,テーマは多彩だが,少し深みが足りない。史料分析は後の世でもできるかもしれないが,その時代に生きた人の声を集めていく作業はその時しかできない。令和の時代が平成とどう違っていくか今はまだわからないが,十年後くらいにこの本を読むと,時代は変わったのだと思うのだろうか。2022/11/05
まさまっくす
1
私は1982年生まれ、正に平成がこれまでの人生だった。平成しか知らない私たちは、小さいころから”暗いトンネルの中”」におり、”経済は再生”されるものであり、肯定的な平成の論評が無い時代に生きてきた。でも本当かな?日本は成熟し、落ち着いた国になり、多様な生き方が少なくとも”ある”世の中になった。田中康夫の言葉を借りると、「私たちは微力だけど無力じゃない」過ぎ去った平成を胸に抱き、小さな幸せを掴みたい。2022/04/26
鍵窪錠太郎
1
根底に「昔は良かった」「昭和とは違う」みたいな意識が垣間見えたり、バブル以前の戦後日本の枠組みのまま拡大して欲しかったのか?と感じる部分が少なくなかった。その上、文体が「お、自己陶酔か?」と思う所も有ったので正直形式的にも微妙な所を感じた。「平成」という時代をテーマにした上で記者が集まって人と社会を総括するのも良いが、この程度の内容ならもっと掘り下げた良い内容の本が有る。総括すべきは人と社会では無く、マスメディアの在り方とかの方では無いだろうか?多少は首肯出来る内容は有ったけれど、正直読む必要は無かった。2019/08/21