出版社内容情報
既存の日本像に鋭く切りこんでいる日本中世史家が,宮本常一の『忘れられた日本人』を読みぬき,歴史の中の老人・女性・子ども・遍歴民の役割や東日本と西日本との間の大きな差異に着目したその先駆性を明らかにする.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeapple
11
網野善彦による宮本常一論としても読めるかなあ。もう一度宮本常一の『忘れられた日本人』を読んでみよう。周防大島にも行ってみたい。2023/06/01
ダージリン
5
宮本常一氏の「忘れられた日本人」を網野善彦氏が語るという何とも贅沢な本。「忘れられた日本人」、「家郷の訓」には感銘を受けていたが、網野氏の解説で理解が深まる。網野氏が追及したテーマであるアジールや、百姓、東と西の差異、などの視点からも捉えていく。「忘れられた日本人」はもう一度読み返してみたい。2019/08/28
のんき
4
岩波書店で四回にわたり行われた講座の記録を書籍化したもの。元が話し言葉であることもあって平易で読みやすい。『忘れられた日本人』を読み込むと同時に著者自身がここから触発された事柄にも話が及び、網野善彦が見た宮本常一、であるところが興味深い。2009/10/22
nekonekoaki
3
2003年12月16日第1刷発行、同22日第2刷発行。先に『忘れられた日本人』を読んでからの本書であったため、より理解がしやすかった。講座記録ということであり、比較的平易な文章であることも読みやすかった。中でも特に人気の高い「土佐源氏」にまつわる話や「女の世間」の解説が興味深い。また、東日本と西日本では民族としての起源がそもそも違うのだという考察が驚き。そして、百姓=農民の概念が正しいものではないという考え方に、なるほどと。更に宮本常一の世界に向かいたくなる一冊です。2021/06/06
Quijimna
3
歩く知の巨人・宮本常一の名著の解題を通して、さらに現代に続く民俗学の諸問題をわかりやすく照射する。宮本論であるとともに平易な「網野史学」入門としてもおすすめ。しかし、江戸後期の文書に「人口2500人の村に僧7人、瞽女3人」という記載あり。興味深い。★★★★☆2012/06/12