出版社内容情報
物語文芸の表現はどのように生成・変換してきたのか。『竹取物語』から『宇
津保物語を経て『源氏物語』に至る平安朝の物語文学の生成を、『万葉集』や
『古今集』の歌ことば、口承・歌謡文芸や芸能等、より広い物語状況との響き
あいの中からあぶり出す。気鋭による斬新な物語論。
目次
第1章 モノガタリ言語序説(物語学と物語史にむけて;説話とモノガタリ;モノガタリ考;王権言語イデオロギー;物語言語の位相)
第2章 神話から物語文芸へ(竹取物語論のために;竹取物語論;宇津保物語―はじまりの世界の想像力)
第3章 物語世界の虚と実(男性作品から女の文学へ;祭りの幻想と宇津保物語;物語の発端の表現構造)
第4章 歌ことばと物語(五月まつ花橘の変奏譚;喪失と懐古―伊勢物語のアイロニー;歌物語テクストの生成と変換;蜻蛉日記の修辞―引き歌論を中心に)
第5章 物語テクストの相互関連(源氏物語と竹取物語と長恨歌;夕顔の巻の表現―テクスト・語り・構造;引用としての准拠)