願望機

願望機

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  • サイズ B6判/ページ数 212p/高さ 19X13cm
  • 商品コード 9784905821335
  • NDC分類 982
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

碧海

25
突如出現した謎の空間≪ゾーン≫は、最奥まで辿り着けば願いが叶うという。それを信じて、立入禁止区域に踏み込む3人の男たちの話です。映画脚本調ですが、言葉少なでも彼らの荒んだ心境と、静謐で神秘的な異界の雰囲気はリアルに迫ります。僧が説教のとき開く傘のように、不可解なことが次々起こる隔絶された空間でこそ、浮き彫りになる彼らの真意。≪ゾーン≫は深層の願いを見つける「願望機」ということでしょうか。「願望機」では重く切実に描いた人間の業を、「スプーン5杯の霊薬」では人間くさい不死者を通してシニカルに描いています2014/08/22

かもめ通信

21
表題作『願望機』は、アベエスィの作品Пикник на обочине(英訳版 Roadside Picnic/日本語版ストーカー)を元に作家達自らが脚本化した作品。タルコフスキイ監督が撮った映画『ストーカー』とはひと味もふた味も違うもうひとつの『ストーカー』が堪能できる。同時収録の『スプーン五杯の霊薬』も、シナリオ形式で書かれている物語。人間に不死を与えてくれる不思議な霊薬が、五人分だけあったなら……というお話。皮肉もユーモアもたっぷりで、なかなか楽しめる作品だった。2022/09/21

em

18
「秘められた願望」がかなえられる場所。ある願望をもってそこへ到達したとする。そこで実現するものは、思い描いていたものと同じだろうか。秘められた願望があらわになったとき、それは秘めておくべきものだったことが明らかになるだけなのかもしれない。自分にすら隠されている欲望、知りたくもなかったそれが、実現してしまったら。それは、考えるだにおそろしい。2018/01/16

Vakira

15
「ストーカー」が面白かったので、探してよんでみた。この本はモロに映画の「ストーカー」だ。それもそのはず、作者は映画の脚本を担当していて、タルコフスキーと一緒に書いたらしい。何編か書いたなかの一作がこの「願望機」だ。出演者は映画と同じ、物理の教授、作家、ストーカーの3人。設定も同じく来訪者の跡地であるゾーンに願いの叶う石を求めて入り込む。教授は真理を求め、作家は最初はインスピレーションを求めていると言い、やがて美、心のやすらぎを求めると言い、ハッキリしない。前到着者は大金持ちになったということだが・・・2014/10/05

アルビレオ@海峡の街

13
「願望機」「スプーン五杯の霊薬」の2つのシナリオを収めた1冊。どちらも人間の深層に眠る願い、欲望をシニカルに描いている。願望機では<<ゾーン>>を探索する3人の男たち、スプーン・・・では、不死の霊薬をめぐる人々の争い。いずれもサクっと読めるがとても深い。「人生に辛いことがなかったら、こんなにすばらしくないかもしれない」という言葉が心に残る。2014/08/30

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