新書y
張形と江戸をんな

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 186p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784896918045
  • NDC分類 384.7
  • Cコード C0221

内容説明

現在の日本人がイメージする「張形」は、男性が女性に対して使う好事家的な性具(バイブレータ)であろう。しかし著者は、そうした意識の背景には女性には欲望はなく受身で、自慰もしないという「西欧近代的な性神話」が影を落としているという。一方、浮世絵春画の世界では、女たちは自らの性欲の解消に張形を積極的に使っている。だがこの世界でも、張形は女性への攻め具に変わっていく。本書は世界的にも稀有な江戸期の張形文化の変遷を、女性の視点で春画の図像・詞書を通じて読み解く性文化論である。

目次

1 欲望の発露(錦の袋にはいった「女の性」;女の性欲と張形文化 ほか)
2 快楽の追及(奥女中の性を描いた『床の置物』;数字をめぐるおかしさ ほか)
3 開放感の伝播(性愛の先進地・上方の張形;京に遅れをとった江戸の張形 ほか)
4 好事家の世界へ(変貌する張形の用途;女のマスターベイションを描く文化 ほか)

著者等紹介

田中優子[タナカユウコ]
1952年横浜市生まれ。法政大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、法政大学社会学部教授。日本近世文化・アジア比較文化専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

303
なんとも大胆、かつユニークな研究。これはもう田中優子先生にしかできそうもない。まずは、江戸文化全般に通暁しているという点で当世の第一人者である。しかも、こんなものを調査研究して上梓するなど、男性研究者なら良くても好事家の好色親父と思われかねない。後ろ指まで指されそうだ。なにしろ本書で扱うのは「張型」だ。女にも性欲を認める江戸文化のおおらかさを背景に様々なシーンを解説してゆくが、これが江戸女の実態か、といえば必ずしもそうではない。なぜなら、浮世絵師たちは男の視点で女を描いているからである。とにかく痛快無比!2018/04/02

富士さん

3
再読。江戸時代の女性の性生活を描くという割には、基本となる資料が春画というのはどうかなぁ、と思いました。春画の描き手は女性の性を直接体験する立場にない人達だし、春画というメディアは対象を正確に描き出すためにあるものではないので、わざわざ二重のバイアスのかかったものを資料とする積極的な意味がわかりません。しかし、春画論としては興味深いものがありました。多少文学研究臭い強引さを感じますが、春画に見える“笑い”への指摘はおもしろく、ワタシ自身現代のポルノに感じている“失笑感”を説明してくれるものだと感じました。2015/05/27

澤水月

3
張形=ディルド(非電動コケシ)を春画で巡る。女性には性欲がないor男に貫かれて初めて芽生える…なんて西欧近代価値観をかるーく吹っ飛ばし、セレブから生娘まで興味津々に「ご用のもの」をいじりまわす上方/江戸の女たちの陽気さ。「性にはおかしみがある」を基調に説かれているので、フェミ系嫌いの人でも抵抗無く読めると思う。現実世界の人物が妄想する世界を「ほわほわ~」って上に描く手法など、今の漫画に全く通じるのもおもしろい2010/01/13

halfpint

2
本邦において女性のマスターベーションがどう描かれてきたかについて。セックスつーのはあんまり進化しないのかね。コンドームとバイブレーターぐらいなのか。2008/12/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/24597
  • ご注意事項