感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
磁石
9
ある女性に恋した哲学者、彼女の美しさに魅了され激動する内心とそれを分析し表に出ることを何とか抑えようとする葛藤の数々。『若きウェルテルの悩み』に似た恋の喜びと苦悩があるけど、そこから男女性論を展開し人間とはどういったものかの考察へと至る。感性だけの獣や理性だけの天使とも違う、美しいものなのに耽溺できず憂慮し隙のない倫理や道徳に不安をおぼえてしまう人間の有り様。その分裂と葛藤を無理やり合わせることなく、真摯に向き合い一人背負うこと。そこに人間の人間たる有り様がある。……まだ理解不足なので、再読したい。2014/11/14
Bevel
2
くず人間を書くのが本当にうまい。愛の弁証法とか、吐き気がする。まさにどこまで本気なんだかわからないところがおもしろみだと思う。イロニーの精神で、実際彼は、「不真面目」な読みをしている。2010/03/01