内容説明
戦後文学の巨匠埴谷雄高が『死霊』の作者として初めて語る「生老病死」の悲哀と逆転の発想。近松から、大岡昇平、三島由紀夫、武田泰淳、武田百合子まで。その多岐に及ぶ光彩陸離たる対話の妙は、そのままよく生きた死者たちへの見事や鎮魂歌となっている。
目次
1 病いと死の文学(『ファウスト』にみる「憂い」と「誤認」;結核と癌の家系;病いと創造;無限変容の夢と文学;心中論)
2 戦後文学者の生と死(『近代文学』と戦後文学;武田泰淳の肖像;『死霊』の解読;埴谷雄高の日本語論;文学の未来)
感想・レビュー
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アレカヤシ
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埴谷さんは少年時代に台湾で、日本人の台湾人に対する横暴を見、そんな日本人を嫌い、そんな日本人の一人である自分を否定したくなる。そして人間は、自分のまわりのあらゆる生物、無生物を殺し、自分の為に利用する。そんな人間であることをやめたいと思っている。のちのアナーキズムや、「自同律の不快」や「存在の革命」につながってる。埴谷さんの全存在にむける博愛は、少年の頃から一貫しているみたい。「無限変容の夢と文学」という章が非常におもしろく、特に(存在の気配)というところは感動した。2018/04/17