内容説明
志を継ぐ者の炎は消えず。曹真を大将軍とする三十万の魏軍の進攻に対し、諸葛亮孔明率いる蜀軍は、迎撃の陣を南鄭に構えた。先鋒を退け、緒戦を制した蜀軍だったが、長雨に両軍撤退を余儀なくされる。蜀の存亡を賭け、魏への侵攻に『漢』の旗を掲げる孔明。長安を死守すべく、魏の運命を背負う司馬懿。そして、時代を生き抜いた馬超、爰京は、戦いの果てに何を見るのか。壮大な叙事詩の幕が厳かに降りる。北方「三国志」堂々の完結。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長篇部門、91年『破軍の星』で柴田練三郎賞をそれぞれ受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
420
ついに読了。最終巻は孔明と司馬懿の読み合いが面白く描かれている。ここで完結するのが定石といえばそうなのかもしれないが、この先を、司馬家を中心に描いたものも読んでみたい。もうここに至ると、孔明の孤軍奮闘ぶりばかりが際立つが、その対抗馬としての司馬懿も、性格的にも光と影というか、対象的で良かった。本を閉じると、一巻からの勇将たちの姿が次々と瞼の裏に浮かんでくる。やはり十巻超えると達成感もひとしお。ちょっと休憩いれた後、『楊家将』⇒『血涙』⇒『水滸伝』と進む。2018/12/26
ehirano1
133
長いようで短かった全十三巻もついに終わりを迎えました。あれだけの才能を持ちながらも孔明の北進(北伐?)は終に成功しませんでした。孔明は運が悪かったのでしょうか?いや、運が良いとか悪いとかのレベルでは到底説明できないものだと思います。ところで、今回の全巻読了において何より驚きなのは、三国志を25年以上も前に読んで知っていたにも関わらず、彼らの生き様にはまたしても心を打たれた事です。これもひとえに北方三国志だったからかもしれません。三国志の英傑豪傑達よ、いつの日かまた会いましょう。2017/06/11
はっせー
88
三国志の完結。最後の五丈原の戦いになってしまった。屈辱に耐えて諸葛亮と戦わないことを選ぶ司馬懿。一方職務を一手に抱え病と疲労と戦う諸葛亮。どちらが正義があるとはいえない。むしろどちらにも正義がある。これは三国志を通して言えることであろう。魏・呉・蜀。どれにも正義がありそこに人がいる。正義とは光のようものであり見え方で色が変わっていく。そしてそこにいる人こそ鏡でありその正義という光を私達に見せてくれる。北方謙三さんの三国志には色鮮やかな光が数多くあった!6年かけて読むことができてほんとうに良かった!2022/11/08
mayu
85
ついに最終巻を読了。智慧をめぐらす孔明と、戦わずひたすら守りに徹する司馬懿の対決。これまでの真正面からぶつかる戦とはまた違う、心理戦とも言うべき読み応えがあった。そして、劉備の志を継いだ孔明が斃れる。時代はうつり変わっても、また人の想いは受け継がれていく。それぞれの生き方とそれぞれの結末。乱世を駆け抜けた英傑たち皆に信じる道があった。誰が正しいとかじゃなく、真っ直ぐな熱い想いに胸を打たれた。「自分を映す鏡を心の中に持つべきだ。」私が信じるものは何か、どんな生き方をしたいのか。そんなことを考えた。2021/06/23
Kircheis
81
★★★★☆ ついに完結! 諸葛亮の退場の仕方が思った以上にあっさりしてて肩透かし。 でも馬超とオリジナルキャラの爰京が、味わい深いエンディングを演出してくれたので満足。 文句なしに面白かったのは確かだが、北方さんならもっと大胆に脚色して、数倍面白くできたと思ってる。2018/02/08