日本を襲ったスペイン・インフルエンザ - 人類とウィルスの第一次世界戦争

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  • サイズ B6判/ページ数 474p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784894345027
  • NDC分類 493.87
  • Cコード C0021

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

45
【コロナ36】スペイン・インフルエンザは、記録のある限り人類の歴史始まって以来の最大の人的被害をもたらした。にもかかわらず、日本における文献がないのはのは奇異だ、と江戸時代を中心とした歴史人口学の老学者(2006年の刊行時76歳)が筆を執った。大正7年(1918年)から大正9年(1920年)のことだから、すでに聞き取り調査はできない。そこで30紙に及ぶ地方新聞や軍や都道府県の内部資料を探し当てて読み解き再現した、著者(惜しくも先般亡くなった)の労をまずは称えたい。日本では3つの波があったことがわかる。↓2020/07/31

kawa

38
今から100年前世界的に大流行したスペイン・インフルエンザ(ちなみに、米国カンザス州の陸軍基地で始まった)の様相を様々な資料から振り返る。犠牲者は世界で2000万~4500万人、日本でも公式38.5万人(筆者推計50万人)だと言うが、この大災害が歴史の大事件として歴史書で語り継がれていないという事実にびっくり(同時期の第1次世界大戦の被害者は1600万人)。「歴史人口学」の専門家で、感染症の専門家ではない筆者によると、この災禍に関する専門の分析書は少なくとも日本にはないという指摘に二度目のびっくり。2020/04/14

更紗蝦

35
「新型インフルエンザ」の脅威が取り沙汰されていた2006年に出版された本です。著者の専門は経済史・歴史人口学なので、基本的には罹患者のデータを淡々と追う内容ですが、大正時代の大衆文化や軍事に関連する内容なので、大正という時代性に興味のある人にはもちろんのこと、現在のコロナ禍にあっては、歴史から学ぶ意欲のある人全てに手に取ってもらいたい本です。著者は終章で「まずスペイン・インフルエンザから何も学んでこなかったこと自体」を教訓とすべしと説いています。2020/07/25

パトラッシュ

30
父方の祖父は4人兄弟のうち2人をスペイン風邪で亡くしたが、実は日本で45万人、世界で4千万人が死んだスペイン・インフルエンザの犠牲者だった。第一次大戦や関東大震災の陰に隠れていた巨大な天災の実情や対策を当時の新聞記事を駆使して明らかにしていく。「将来の大流行に際して市民生活の維持に何が最も必要か見定めることが何より必要」との結語は、新型コロナとの戦いに苦しむ日本がどう動くべきか予言しているようだ。副題によればウイルスとの第二次世界戦争を戦いつつある人類は、改めて完敗に終わった第一次戦争を知らねばならない。2020/04/14

おおにし

27
スペイン・インフルエンザが大流行した100年前の時代、人々はウィルスの存在を知らなかった。現在、我々は新型肺炎がコロナ・ウィルスが引き起こしていることを知っている。しかし、その対策は、100年前もマスク着用、人混みを避ける、患者の隔離などと今も昔も変わらず、ウィルスの猛威を止めることができていない。防災ができなくても減災はできる、それは過去の役病の歴史をきちんと記録し残すことだと著者は語っている。新型コロナで得た教訓を次世代に残していくことが我々の課題であると思う。2020/07/10

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