内容説明
本書は、ニューヨークから東京、ロサンゼルスから大阪とめまぐるしく場面を変えながら、日本製VTRがアメリカの社会、経済、産業にもたらした驚くべき支配力と影響力を克明に語っている。アメリカのVTRメーカーの挫折をよそに、VTR市場をめぐって繰り広げる日本企業同士の戦い―ソニー対松下・ビクター連合―、そしてビデオソフトの著作権問題をめぐる、VTRメーカー、映画会社、レンタルビデオ業者間でのし烈な戦い―舞台は片田舎のビデオショップから法廷、ワシントンの議会と展開される―迫真の人間ドラマとして描いている。ひとつの急激な技術進歩が、いかにアメリカ社会に衝撃を与えたか、日米経済問題に留まらずに、なぜ文化的軋轢までに発展しようとしているのかを、本書はVTRを早送り(FAST FORWARD)するがごとく明確にこの疑問に答えている。
目次
1 ベータマックス―イッツ・ア・ソニー
2 焼け跡の不死鳥
3 サーノフ将軍のバースデー・プレゼント
4 東は東 西は西
5 NIH症候群
6 見たいものを見たい時に
7 法廷弁護士の夢
8 問題はすべて解決すべし
9 日本式離婚
10 VTRファミリーの結成
11 ライト兄弟とレンタル・ウォーズ
12 ポトマック河畔のハリウッド
13 チャールストン・ヘストンの得点
14 張り子の虎
15 寝ずの番
16 豚同士の泥試合
17 判決
18 草の根(グラス・ルーツ)VSロビイスト
19 ソニーとパイオニア税
20 ベトコン(VTR)との終わりなき戦い