出版社内容情報
フランス革命後の独立の気運に乗って,ウィーン会議以後の国際社会の権謀術数の中から,オスマン帝国の支配を脱するギリシア人の苦闘。古代ギリシアがローマの属州に落ちて以来2000年の独立である
目次
はじめに オスマン帝国支配下のギリシア人
第1章 イオニア七島連合共和国
第2章 ロシア皇帝に仕えてウィーン会議に随行
第3章 秘密結社友愛会(フィリキ・エテリア)の蜂起
第4章 ロシアの外相時代
第5章 ギリシア独立戦争
第6章 ギリシア臨時政府大統領時代
第7章 カポディーストリアス最後の一年
終章 カポディーストリアスとその時代
著者等紹介
阿部重雄[アベシゲオ]
1918年8月宮城県に生まれる。1941年12月東京帝国大学文学部西洋史学科卒業。(旧制)第四高等学校教授、(新制)金沢大学助教授、東京農工大学教授、大正大学教授を経て、現在、東京農工大学名誉教授
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感想・レビュー
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ジュンジュン
9
ナポレオンの台頭は民族意識を芽生えさせ、その没落はそれを抑え込むウィーン体制を生み出した。ギリシャの独立も当時の状況に飲み込まれていく。民族の独立を求めて始められた運動は、小国ゆえ、ウィーン体制を構築する列強(英仏露)の支援なくして続けられなかった。結果、ギリシャの独立は列強間の取引で決めれてしまう。ギリシャ人もまた凝集力を持たずバラバラ。そんな苦しい船出の船長(大統領)を担ったのが、カポディーストリアス。火中の栗を拾う、四面楚歌の言葉がピッタリの在職3年半だった。2023/04/03
茅野
4
1860年代のギリシア革命その他を興味深く思っており、周辺知識を固めるために手に取ったが、初代ギリシア大統領カポディストリアスがロシア外相を勤めていたことや、英仏露の列強が如何にしてギリシアで利権を求め合うようになったかなど、全く知識がなかったことに我ながら愕然とし、大変楽しく読み進めた。 著者が研究対象を愛していることは伝わるし、好ましいが、稀に行き過ぎの感があるのと、誤植や表記揺れが多いのが玉に瑕。しかし、ユリウス暦かグレゴリオ暦なのかの表記が毎度あるのは大変有難い!2022/11/06
koz kata
0
福利厚生という概念が芽生える前の統治だったのでまあいくら寛容な統治でも支配される側にイライラは募り、それがたまりきったところで独立運動が起きる。 ギリシア独立運動の立役者だったヨアン・カポディーストリアスが実はイタリア語の方が得意でギリシア語はあんまし・・・だったりするところが興味深いと思って読んでたな。