内容説明
女性にとって、究極的な快楽のみを追究した性愛小説とはなんだろう?女性による女性のための男性同士の愛のポルノグラフィ「やおい小説」における“攻め”と“受け”のジェンダー構造を鮮やかに解き明かす。女性エロチック表現のミステリーに取り組んだ文学批評。
目次
第1章 “受”と“攻”(差異化の要素)
第2章 “やおい小説”の恋愛形態(恋愛形態の分析;“やおい小説”のデータ分析)
第3章 欲望の構図(エロティシズム表現;快楽の回路)
男同士の理由
著者等紹介
永久保陽子[ナガクボヨウコ]
1993年藤女子大学文学部国文科卒業。1996年専修大学大学院文学研究科修士課程修了。2004年専修大学大学院文学研究科博士後期課程修了(文学博士)。“やおい小説”研究を中心に、現代小説、女性をめぐるメディアについて批評活動を行っている
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感想・レビュー
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ひるお
1
商業出版された「やおい小説」について、作品中の具体的な描写を引用しつつ、分析した骨太の一冊。「受」「攻」の身長差や容姿に着目し、「受」「攻」がともに男性性と女性性の両方を兼ね備えながら、互いとの比較によって相対的男性性・女性性を確立していることを指摘した第1章、やおい小説におけるカップルが、ヘテロセクシュアルな構造に擬態することで、異性愛中心主義やホモフォビアの対象になることを回避していることを指摘した第2章、やおい小説に女性読者の欲望がどのように表れているのか分析した第3章と、圧巻の仕事量だ。2018/10/25
パラ野
0
BLlogiaに追加漏れしてたのね。確か、日本初、やおい小説で博士号を取得した歴史的な論文です。やおい小説における受け攻めのチンコ格差が興味深いです。過去作品と2010年代のチンコ格差、どうなっているのか、すごく気になります。昔なら、赤黒い、グロテスク、などの形容はモブ姦に多かったかもしれませんが、今はずいぶん違うような気がしますが証拠が出せない。
ast
0
上野千鶴子『発情装置』の引用が何ヵ所かあり読み返したくなる。人物のモノ化、男性向けポルノ小説との比較、視点の話が興味深かった。2013/04/15
穂積
0
BL小説を参照しながら展開されるので、嫌悪感ある人は見ない方がいい。どうしても普遍的とは言い難いかな、と。BLとジェンダー論について考えるには重要かと。2011/11/01
あか
0
参考文献が偏っているような? やおい論を書く人なら資料にはなりそう。2008/10/09