内容説明
稀覯書に記された戦慄の呪文を弄んだ男の末路を描く「エリック・ホウムの死」。古びた古書店に仕掛けられた深淵からの罠「本を守護する者」。百五十年ぶりに発掘されたサン・ザヴィエル伝道本部の失われた瞳にまつわる怪事件を描いた「恐怖の瞳」。海辺の寒村ケイルズマスを訪れた医師の運命の物語「緑の深淵の落とし子」など、九篇を収録。さらに「ラヴクラフト書簡より」「クトゥルー画廊」など資料も多数掲載した暗黒神話大系シリーズ最終巻。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
demoii
2
まずここまで読んでこれたことがとても嬉しい。深きものどもは水没したルルイエの周りをイルカの群れが泳ぐ姿を想像できてよかった。でもこれからはイルカやクジラが知的だと言われるたびに思い出しちゃいそう。遥かな地底でも都市をの地下を舞台していて想像たくましくしちゃうものだった。今は読み終わってしまった寂しさよりも最後にたどり着いた高揚感が大きい。でもまだ入り口にすぎないんです2012/06/04
南註亭
2
アンソロジーシリーズの最終巻。やはりクトゥルー神話に、書物・手記・日誌などは欠かせないアイテムになっている。シリーズ全体にいえるが、アイテム頼りというかアイテムに負けているというか、そういう傾向も見受けられる。巻末の資料と全巻の作品一覧は参考になるし便利でもある。山田章博氏のカバーイラストも良い。 オススメ度 ☆☆☆☆2012/04/05
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
2
**注)ホラー**クトゥルーネタの小説読解の為に13巻目読了。青心社のクトゥルー全集の最終巻である本作。やはり、最大の見所は、ボリューム満点の巻末資料。この資料編がかなり分厚く、写真や絵も豊富でファンにはありがたい。ホラーからラブコメまで出ているクトゥルー小説を読解したい方にお勧めします。2012/02/23
flatscan
1
各作家のクトゥルー短編集。『彼方からあらわれたもの』お手軽アイテム。『エリック・ホウムの死』残当の結末。『遥かな地底で』好いネタ。東京の地下鉄に置き換えても面白いか。『本を守護する者』ひたすら魔書に焦点を当てた作品。『哄笑する食屍鬼』ラストシーンが全てだがイマイチ。『ブバスティスの子ら』好き。ツッコミどころはあるがラストシーンに向けて収束して行く感じが好い。『恐怖の鐘』素晴らしい。鐘(音=振動)と光の解釈も好き。『緑の深淵の落とし子』こっそり人類の危機。『深きものども』こうやって後付けで色んな設定が。2021/11/04
マサトク
1
青心社の〈暗黒神話体系〉シリーズとしてはこれが最終巻。これも長らく積んでいたものだな。「緑の深淵の落とし子」や「深きものども」はアップデートされたクトゥルー神話を感じさせる。両作品とも、ラブ・ストーリーの要素が交じるところは特にそう。「深きものども」は、イルカが実は…という話。いやーぶっ飛んでんな。逆に言えば、クトゥルー神話の自由さを感じさせるとも。良いシリーズでした。2021/08/18