内容説明
大帝国を建設した英雄の物語。登場人物を生き生きと描き興味深いエピソードで綴る、ローマ人の大王像。本邦初訳。
著者等紹介
谷栄一郎[タニエイイチロウ]
奈良県立大学教授。1948年兵庫県に生まれる。1978年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1990年奈良県立短期大学講師、奈良県立商科大学助教授を経て現職
上村健二[カミムラケンジ]
甲子園大学人間文化学部専任講師。1963年大阪府に生まれる。1991年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1997年現職
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
1世紀に生きたローマ人の著者は本書で、プルタルコス描く傑出した英雄であるアレクサンドロス像とは異なる大王像を示した。勝利に酔い、自らを全てを許された者であると自惚れ、転戦先で酒と女に溺れ、放蕩と暴力の限りを尽くす暴君像である。ストア派的倫理のフィルタを通して書き記した著者は、大王の変貌の契機をペルシア戦争で敵側の豪奢な生活文化に接した点に求め、その残虐さと死因を溺れるほどの飲酒によるものと推測した。本書は中世末期に翻訳され、その人間臭い大王像から「アレクサンダー・ロマンス」なるジャンルを生んだとされる。2022/07/06