内容説明
なぜ夢には自分が育った場所がよく現われるのか。夢に現われる場所はいったいどういう場所なのか。われわれは夢の中で建築や空間環境とどのようにかかわっているのか…。二五年間にわたって自らの夢の記録をとり続けてきた建築計画学の第一人者が、夢に現われる場所、建築の考察に取り組む。第一部では夢の場に働く原理の仮説が提示され、第二部では建築家横山正氏との対談によって夢の世界の豊かさが見直される。そして、第三部では東西の代表的な夢日記に表現された建築、空間を読み解いていく…。
目次
第1部 夢における場
第2部 夢の中の空間をめぐって(吉武泰水;横山正)
第3部 夢の建築を読む
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
渡邊利道
4
建築課による、私的な夢の記録を空間・場所への注目を軸に分析した本。対談と古今の夢の本の書評との三部構成で、ともすれば私的に過ぎる分析を立体的にする工夫もされている。杉浦康平のレイアウトデザインでその企図がさらに楽しめるものになっているのもポイント。2018/11/24
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1
建築家である著者が自らの夢について、どのような場所が舞台か、夢に登場する建築の間取りはどうかという部分から分析を行い、その結果どうやら自分は新しい環境に適応するために思い出の環境と新しい環境を夢の中で無意識で混ぜ合わせてるんじゃないかという発見を導き出す。まさに夢を舞台にしたフィールドワークといった感じで、こういう切り口は精神分析学的アプローチともまた違っていてあまり書かれたことのないタイプなんじゃないだろうか。古今東西の夢日記のリファレンスとしても使えるし、夢の記録の方法論も少し書いてあって参考になる2018/01/02