内容説明
フッサール現象学は、「“間”の次元の発見」によって、20世紀の哲学に対してまったく新しい思考可能性の扉を開いた。この着想のもとに、フッサール現象学を読み直し、再評価を試みる。それとともに、ヨーロッパ大陸の哲学と英米の哲学という、二つに分断された現代哲学の状況のなかで、両者に橋を架ける可能性をフッサール現象学に見ようとする。近代から現代へという大きな哲学の流れのなかで、フッサール現象学が持つ意味を見据えつつ、初学者のための入門に貢献しようとする。長く邦訳が期待されていた、正統派のフッサール現象学入門書が、ここにようやく日の目を見る。
目次
第1部 現象学的方法(フッサールの生涯と著作;現象学の根本問題;心理学主義に対する反駁;本質論としての現象学;世界信憑とエポケー;現象学的還元;還元への道)
第2部 生活世界の現象学(構成の問題;構成のモデルとしての知覚;知覚に先立つ段階;時間意識;間主観性;発生的現象学と近代科学の成立;客観主義批判と生活世界)