大量殺人の“ダークヒーロー”―なぜ若者は、銃乱射や自爆テロに走るのか?

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861826412
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0036

内容説明

事件と犯人の綿密な分析によって、動機・心理・社会背景を解明し、“銃乱射”や“自爆テロ”が生命を犠牲にした“表現行為”であり、現代資本主義の構造的な病理であることを明らかにした世界で話題の書!

目次

第1章 “俺はジョーカーだ”―オーロラ銃乱射事件とホームズ
第2章 “人間は過大評価されている”―ヨケラ高校銃乱射事件とオーヴィネン
第3章 “死ぬ直前、一瞬だけ勝者に”―コロンバイン高校銃乱射事件とハリス&クレボルド
第4章 “私はイエスのように死ぬ”―ヴァージニア工科大学銃乱射事件とチョスンヒ
第5章 現代資本主義社会において“犯罪”とは?
第6章 “ロボットのように殺人を”―ノルウェー連続テロ事件とブレイヴィーク
第7章 “民族のために生命を捧げた”―マクペラの洞窟虐殺事件とゴールドシュテイン
第8章 “誰も安全ではない”―アメリカ同時多発テロ事件とアタ、ロンドン英兵惨殺事件とアデボラージョ&アデボワール、ワシントン海軍工廠銃撃事件とアレクシス
第9章 “世界に広がる自殺の波”―横浜浮浪者襲撃殺人事件、引きこもり、フランステレコム社、イタリア・タラント市、モンサント社、フォックスコン社…
第10章 最も自殺の多い国の希望―ソウルへの旅
第11章 何もなせることがないときに、何をなすべきか?

著者等紹介

ベラルディ(ビフォ),フランコ[ベラルディビフォ,フランコ] [Berardi“Bifo”,Franco]
フランス、イタリア、アメリカを股にかけて活躍してきた、先鋭的な思想家であり、メディア・アクティヴィスト。「ビフォ」(“Bifo”)の愛称で知られる。1949年、イタリア・ボローニャ生まれ。1970年代に、アントニオ・ネグリらとともにイタリアのアウトノミア運動を中心的に推進した一人で、雑誌『ア/トラヴェルソ(A/Traverso)』誌を創刊し、イタリア初の自由ラジオ(海賊放送)「ラジオ・アリーチェ(Radio Alice)」を開局した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

68
銃乱射やテロを紐解いた一冊。とはいえその読み解いていく部分が現代思想によってなので、非常に違和感を覚える。結局のところ全てが反資本主義、反グローバリズムに収斂していくわけであって、そこにさらに違和感を覚える。確かにこういう事件から現代社会の病理を明らかにしていくのは大事だけどさあ。個々の事件の差異を無視して全てこういう大きい物語に繋げていくのは、我田引水というか非常に無理があると思うわけ。事件の詳細や社会に及ぼした影響かと思って読み始めたら、神学論争聞かされたような気分。期待してたのとはまるで違ったなあ。2018/06/11

テツ

21
大量殺人を犯した人間たち。爆発するように膨れ上がるアイデンティティの暴走。いわゆるセカイ系を擬えるように彼らには彼らの目に入り彼らが体験する矮小な世界だけが全てであり、その矮小さと自己評価との差異に、そして実際の世界の巨大さと比べたときの己の存在の小ささに狂ってしまったのかな。自分の存在なんて世界の誰も気に留めない。それは特別なことではなく全ての人間がそうなんだ。存在感を発揮することを人生の締めくくりにするだなんてアホ臭い。2018/02/15

eirianda

18
ファナティックにアイデンティティを求める病気、という箇所にガッテン。アイデンティティを真正性や原始的帰属の条件と取り違えると、相互的攻撃性、レイシズム、暴力、ファシズムなどをもたらす…。 グローバリズム、金融資本主義、労働のデジタル化、ITバブルの破裂、若者の貧困、絶望…。殺伐としている世界に青ざめた。自殺は韓国も日本を上回り相当多いらしい。もうデュルケムの自殺論は時代遅れなのか…? 死ぬ前にダークヒーローになりたいとかは、勘弁してほしい。コードが意味を喪失する新たな空間へ移行している真っ最中か?2017/12/05

犬養三千代

9
乱射事件の様々を取り上げて、その考察に始まり大量殺人の原点は自分が死にたかったというもの。自殺という行為を取り上げている。絶望それに至る貧困、無力感、孤独、病気など。無感動症ってあるんだ。自殺できないから射殺されたい。過酷な労働で自殺に追い込まれる。はーーため息ため息だ。20世紀の思想家の言葉を沢山書いているが結構虚しい。2020/01/17

にしの

8
気鋭の哲学者による頻発するマスマーダーについての論考。こういうテーマはルポで読むことが多いから、気づきの多い読書体験になった。ルポであればこういうテーマはイジメや心の闇、家族や社会の問題で語られるだろう。ところが、筆者は金融資本主義によって破壊された社会にある我々のあり方から大量殺人を見出す。大量殺人は自殺でもある。ただ消えていく自分を拒絶した連中がダークヒーローになってゆく。筆者は明るい未来を簡単に結論しない。精神的毒素に満ちた社会で人間は逃げ場を探すことしかできないのかもしれない。悲観的な論考だ。2022/07/22

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