なぜ私たちは、喜んで“資本主義の奴隷”になるのか?―新自由主義社会における欲望と隷属

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861824173
  • NDC分類 332.06
  • Cコード C0033

内容説明

“ポスト近代の奴隷制”と化した新自由主義社会―マルクスの“構造”分析とスピノザの“情念”の哲学を理論的に結合し、「意志的隷属」というミステリーを解明する。

目次

なぜ私たちは、喜んで“資本主義の奴隷”になるのか?―新自由主義社会における欲望と隷属(ポスト近代の“奴隷制”としての新自由主義―資本による「実質的包摂」は、いかに機能しているのか?;なぜ私たちは、喜んで“資本主義の奴隷”になるのか?―「やりがい搾取」や「自己実現幻想」を超えて)
第1章 “何かをしたい/させたい”という欲望(何かをしたいという欲望;何かをさせたいという欲望―経営者と組み込み ほか)
第2章 人を“喜んで”労働させる方法(内在的な楽しい感情;合意のアポリア ほか)
第3章 “労働による支配”からの脱却をめざして(“合意”と支配;欲望の分割と無力感 ほか)

著者等紹介

ロルドン,フレデリック[ロルドン,フレデリック][Lordon,Fr´ed´eric]
フランスの経済学者。「フランス国立科学研究センター」(CNRS)、および「ヨーロッパ社会学センター」(CSE)の研究ディレクター。1962年生まれ。社会科学高等研究学院(EHESS)で博士号を取得。世界金融危機、欧州債務危機に対して、世界金融の構造分析の専門家としての著作を矢継ぎ早やに世に問い、いま最も先鋭的な経済学者として注目を浴びている。その言動は、いつもマスメディアで大きな話題を集め、「銀行を国有化し、株式市場を閉鎖すべきである」「国際金融資本の手から、自国の金融主権を取り戻せ」「ギリシア危機から脱グローバル化へ」といったラディカルな発言は、近年、アメリカ・ヨーロッパで大きなうねりとなって拡大している「怒れる者たち」(格差社会への抗議運動、緊縮財政への抵抗運動)の間にも、熱狂的な支持者が多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

4
新自由主義の経済体制下で労働者が「やりがい」や「自己実現」の名の下に元々は苦痛だったはずの賃金労働に進んで参入してしまうメカニズムを考察する。内容は大体分かるのだが、所々に哲学者スピノザの言葉からの引用が多くあり、読みにくくなってしまっているのは問題。余計なことかも知れないが、イギリス経験論を源とする経済学に観念論のスピノザやヘーゲルの哲学を結びつけるマルクス経済学などの試みはうまく行っているとは言えないのでは?2014/06/30

一郎二郎

3
財やサービス市場の自由化により障害が崩壊した事をうけ、資本は新たに利害最適化に乗り出す。一切の持続的な約束を拒否する流動資産がモデルとなり、労働力は液体の如く、流動的可逆的適合的なものと見なされる。労働者の欲望は資本家の欲望の方向に整列させられ、全面的隷属が目指される。スピノザによると労働者の欲望のポテンシャルは悲しみの感情と共に保持され、怒りと共に逆方向に方向転換する。企業を労働者の共通の領土と見做し、その決定過程を平等主義民主主義的なものにしようとする欲望があらわれる。横領された潜在力は取り戻される。2023/08/14

a.k.a.Jay-V

2
右左双方でネトウヨだのパヨクだの、そういうの止めた方が良くね?と思ってた矢先、本書を見て「うっせー!バカ!眠てー事言ってんじゃねぇよ!ヘサヨが!」と毒づいた自家撞着。右投げなのに左投げしてるみたいな内容。グルメリポーターが料理を食べずに匂いだけでコメントしているかの様。つーか働いた事あんのかな?この著者。リベラルはピケティのあの本が売れた理由を考えた方がいい。奴隷になる理由→リベラルがしっかりしてないから!皮肉な事におバカ映画tedのテディベアが言う生活の為に働かなきゃの方が100万倍説得力があった2017/01/09

シベリア研修所

2
邦題のせいでキワモノ本に見えてしまうが、原題(直訳すれば『資本主義、欲望、隷属:マルクスとスピノザ』)の通り現代の資本主義をマルクスとスピノザを用いて分析している本。マルクスのスピノザ主義的な再解釈も行われており、マルクス主義に関する本としても興味深い。マルクスとスピノザと聞いてネグリを思い浮かべる人もいるだろうが、ネグリの議論が哲学よりなのに対してロルドンは経済や心理に議論の中心をおいている印象。スピノザに関してある程度の知識を要求されるが興味深い本である。どうしてこんな邦題にしてしまったのだろうか。

Mann

2
数十年前の学生時代、このような議論をふっかけることが好きな同級生がいたなあ、との思いで手にした本。自分が働かざるを得ないことに、社会的な不満や被害者意識を感じている人向け?の本で、読んで楽しいものではない。私の知力では難しすぎるので、通読をあきらめて、巻末の著者インタビューまでスキップ。分かったことは、著者の興味の対象が、”サラリーマンなどの賃金労働者は、何によって動かされて働きに行くのか”、ということ。初期の資本主義は”飢えを刺激として”機能していた。現在は、”労働から得られるお金よりも、労働それ自体に2013/01/14

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