北京のアダム・スミス―21世紀の諸系譜

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  • サイズ B6判/ページ数 673p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861823190
  • NDC分類 332.06
  • Cコード C0033

内容説明

東アジアのGDPは、19世紀半ばまで西洋を圧倒していた。しかしアヘン戦争以降、世界は、西洋が覇権を握る「大いなる分岐」を迎えた。ところが、経済学の祖アダム・スミスは『国富論』で「西洋と東洋の力の差は、いずれ消滅するだろう」と予言している。本書は、スミスの経済発展理論を、マルクスやシュンペーターとも比較しながら再評価し、アメリカの“終末的危機”と中国の興隆のダイナミズムを、壮大な歴史的視野の中から分析したものである。西洋国家システムの弱体化、東アジアの経済的復興によるグローバル市場社会の構築という、新たな“世界システム”が大胆に展望される。

目次

第1部 アダム・スミスと新しいアジアの時代(デトロイトのマルクスと北京のスミス;アダム・スミスの歴史社会学 ほか)
第2部 グローバルな乱流を追跡する(グローバルな乱流の経済学;グローバルな乱流の社会的ダイナミズム ほか)
第3部 解体するヘゲモニー(ヘゲモニーなき支配;史的資本主義の領土的論理 ほか)
第4部 新アジア時代の系譜(「平和的台頭」の挑戦;国家、市場、資本主義、そして東と西 ほか)

著者等紹介

アリギ,ジョヴァンニ[アリギ,ジョヴァンニ][Arrighi,Giovanni]
1937~2009年。イタリア生まれ。社会学者。「世界システム論」の代表的論者の一人。1979~1998年、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のブローデル・センターで、ウォーラーステイン等とともに世界システム論の展開をリードしたが、「もうひとつの世界システム論」とも呼ぶべき独自の理論構築を行ない、その成果は『長い20世紀』(邦訳:作品社)などにまとめられている。1998年、ジョンズ・ホプキンス大学に移り、同大で教授(社会学)を務めた。2009年6月18日癌で亡くなった

中山智香子[ナカヤマチカコ]
1964年生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学、ウィーン大学経済学研究科博士後期課程卒業。社会・経済学博士(ウィーン大学)。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。専攻:経済思想史・社会思想史(オーストリア学派の新自由主義の理論、大戦間期の諸経済思想)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

34

15
資本主義の起源を遠距離貿易と国際的な分業体制にみるウォーラーステインの世界システム論を、ロバート・ブレナーは「新スミス主義」として批判した。ブレナーにとって、資本主義的蓄積を可能にするのはもっぱら国内的な生産関係(生産者が生産手段から切り離され社会的に孤立させられていること)である。アリギにとっては、確かに「産業資本主義」の前提条件としてこれは正しい記述であるが、同時にそれは先行する資本主義の創造的破壊の帰結でもあるのだ。というのもアリギは資本主義を「資本と権力の終わりなき蓄積の継起」とみなすからである。2021/08/04

singoito2

10
ミラノヴィッチきっかけ。厚さ6センチ弱という本なので、「本書の中心的問題は、スミスが230年前に予見し主張したように、中国の台頭がヨーロッパ人と非ヨーロッパ人の間のさらなる平等と相互尊重の先駆けと見なせるのか、またいかなる場 合にそう見なせるのかという問題であり・・・」P525と始まる終章を最初に読むのがお奨め。ブローデル、ウォーラーステイン、フランク、ポメランツらの世界システム論を踏まえつつイラク戦争を期とする米国の提供力の低下と、入れ替わるような中国の台頭の背景を検討している。2023/10/18

てれまこし

5
マルクスなどが資本主義を資本の増殖を目的とするシステムとして描きだしたのに対して、スミスにとって資本は消費を増加させ生活資料を増やす手段でしかなかった。アリギは、これを西洋型資本主義と労働の吸収を目的とする東洋の市場経済に結びつけた。米国覇権化の国際経済システムは金融化という末期症状を呈しており、既に人々の生活からは切り離されたところで架空の富が産み出されては蒸発する。中国の非資本主義的な市場経済が、果してのそれに代わる代替物を準備してくれているのか。人類の未来は西洋ではなく、実は東洋にあったのか。うーん2018/09/17

takao

2
p.600-601 (解説 山下範下)アリギの理論構成は資本主義は程度の差こそあれいつでも観察できる現実であることを認めるところから出発している。 2023/06/21

メルセ・ひすい

2
15 ロング・インタヴュー!世界システム分析…資本主義から市場社会へ…半周辺論からヘゲモニー論とは?★ネオブローデクアンの帝国論批判/そして、批判的帝国論。ウォーラースティン的な世界システム論・ハート/ネグリ的なポストモダン帝国論・政治的マルクス論の三極構成にアリギ有り理論体系の位置とは…21世紀「世界システム」は中国の台頭でどうなるか。東アジアの経済的復興と新たな「世界システム」への転換を、アダム・スミスの経済発展理論をもとに壮大な歴史的視野から分析。著者生前最後のインタビューも掲載。 解説:山下範久2011/06/26

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