内容説明
東アジアのGDPは、19世紀半ばまで西洋を圧倒していた。しかしアヘン戦争以降、世界は、西洋が覇権を握る「大いなる分岐」を迎えた。ところが、経済学の祖アダム・スミスは『国富論』で「西洋と東洋の力の差は、いずれ消滅するだろう」と予言している。本書は、スミスの経済発展理論を、マルクスやシュンペーターとも比較しながら再評価し、アメリカの“終末的危機”と中国の興隆のダイナミズムを、壮大な歴史的視野の中から分析したものである。西洋国家システムの弱体化、東アジアの経済的復興によるグローバル市場社会の構築という、新たな“世界システム”が大胆に展望される。
目次
第1部 アダム・スミスと新しいアジアの時代(デトロイトのマルクスと北京のスミス;アダム・スミスの歴史社会学 ほか)
第2部 グローバルな乱流を追跡する(グローバルな乱流の経済学;グローバルな乱流の社会的ダイナミズム ほか)
第3部 解体するヘゲモニー(ヘゲモニーなき支配;史的資本主義の領土的論理 ほか)
第4部 新アジア時代の系譜(「平和的台頭」の挑戦;国家、市場、資本主義、そして東と西 ほか)
著者等紹介
アリギ,ジョヴァンニ[アリギ,ジョヴァンニ][Arrighi,Giovanni]
1937~2009年。イタリア生まれ。社会学者。「世界システム論」の代表的論者の一人。1979~1998年、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のブローデル・センターで、ウォーラーステイン等とともに世界システム論の展開をリードしたが、「もうひとつの世界システム論」とも呼ぶべき独自の理論構築を行ない、その成果は『長い20世紀』(邦訳:作品社)などにまとめられている。1998年、ジョンズ・ホプキンス大学に移り、同大で教授(社会学)を務めた。2009年6月18日癌で亡くなった
中山智香子[ナカヤマチカコ]
1964年生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学、ウィーン大学経済学研究科博士後期課程卒業。社会・経済学博士(ウィーン大学)。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。専攻:経済思想史・社会思想史(オーストリア学派の新自由主義の理論、大戦間期の諸経済思想)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
34
singoito2
てれまこし
takao
メルセ・ひすい