内容説明
伝説的な名エッセイ「前衛記録映画論」はじめ、エイゼンシュタイン、ゴダール、ブニュエル、アントニオーニ、レネなどの世界的名作を独創的な視点で論じた。
目次
映画芸術の現代的視座
前衛記録映画論
方法とイメージ
ネオ・ドキュメンタリズムとは何か
隠された世界の記録―ドキュメンタリーにおける想像力の問題
残酷を見つめる眼―芸術的否定行為における主体の位置について
堕落したリアリズム
モダニズムとクリティック
追体験の主体的意味―『二十四時間の情事』について
日常性と凝視
ドラマの無いドラマ
存在の形而上学
「敗戦」と「戦後」の不在
芸術的サド・マゾヒストの意識
変身の論理
大衆という名の物神について
運動の変革
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこ
2
「眼を覆えばそこから逃れることのできるような残酷さなどに真の残酷さはない」 「ある朝芸術的に眼が覚めて見たら、すでに自然主義批判の思想が公認化されていたとする。そのとき自然主義批判を声高らかに叫ぶことでみずからを自然主義の克服者と思いこむ意識」 反省……。2017/07/30
かいこ
1
とても面白かった。「意識の日常性の破壊」 「目を覆えばそこから逃れることのできるような残酷さなどに真の残酷さはないのだ」『いかに同情や恐怖や怒りをもって見ようとも、それを自分の「外側」に見ているかぎりは「何も見ていない」にひとしいというわけである』「ある朝……すでにスターリン主義批判の思想が公認化されていたとする。そのときスターリン主義批判を声高らかに叫ぶことでみずからをスターリン主義の克服者と思い込む意識がこれである」2018/06/19
ポルポ・ウィズ・バナナ
0
ここで書かれている批評の問題は全くもって現代に通ずる。というか、日本人進歩してなさすぎ。50年前とレベルは一緒、というか、劣化さえしてる。2012/01/17
mt
0
人生の課題図書と感じていたものをようやく読了。創作における高い志と覚悟。他の評論者、創作者への怒りをここまでまっすぐぶつけている本だとは思わなかった、2022/11/24
べ
0
扱う素材も使う手法も依拠する思想・潮流についても、これやっときゃいいという思考停止をするな、すべてを疑い自己解体せ2022/03/30