ルーゴン・マッカール叢書
壊滅

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  • サイズ A5判/ページ数 667p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784846004422
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

ゾラが見た普仏戦争とパリ・コミューンの惨劇。プロシア軍の捕虜となったナポレオン三世―戦場を彷徨する労働者・ブルジョワ・農民兵士たちをめぐる愛と別離の物語。

著者等紹介

小田光雄[オダミツオ]
1951年静岡県生まれ。早稲田大学卒業。出版社の経営に携わる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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まふ

119
1870~1871年の普仏戦争およびパリ・コンミューンを描いた大作。戦場となったアルザス・ロレーヌ地方での兵士ジャン、モーリス、その姉アンリエットなどを中心とした一大ドラマである。ドイツ統一を目指す新興国プロイセンとドイツ系諸邦の軍事力の前に巨大陸軍国であったフランスが一方的に敗北させられる。ゾラの緻密な調査による文章の確かさによってフランス軍のお粗末さとプロシャの正確無比の軍隊との差が「手に取るように」理解できた。また戦争で犠牲になるのはいつも一般大衆であることが痛感された。G1000。⇒2024/01/29

ケイ

96
普仏戦争とパリコミューン。フランスをどん底に突き落とした戦争をゾラが描いている。ジャンとモーリスという男の目を通して。ユーゴーは、その数十年前の王政復古やナポレオン三世の時代にジャンバルジャンを登場させたが、ゾラはその戦いに自ら生んだ人物を巻き込ませる。戦争に対する高揚と狂気。破壊されるパリ。それを感傷にひたることなく淡々と描くが、読み手はその時代の動きに翻弄される。ゾラが素晴らしいのは、どんな壊滅を目にしても立ち上がって粛々となすべき事に立ち向かっていく普通の人々の強さを忘れさせないからだと思う。2015/07/20

ケイトKATE

31
ゾラの『壊滅』はトルストイの『戦争と平和』に匹敵する戦争小説の傑作である。『壊滅』は普仏戦争を舞台に、ナポレオン三世の第二帝政が崩壊する様子が生々しく描かれている。普仏戦争は戦争を綿密に準備していたプロイセンに対し、フランスは準備不十分で敗れたとされるが、ゾラは第二帝政における政治と軍内部の腐敗が原因であり、敗れるべくして敗れたと断罪している。『壊滅』はフランス軍に従軍するジャンとモーリスを中心に凄惨な戦闘描写と、戦争によって兵士だけでなく、一般の人々が犠牲になっていく様子もしっかりと書いている。2020/09/18

tyfk

8
「フランス人だって? 子供を見て、俺を見るんだ! 俺にそっくりじゃないか。君に似ているところがどこにあるんだ?」「私が生んだんだから、私の子だわ! フランス人に汚いドイツの言葉なんか教えるもんですか。そうよ! 殺された者たちの復讐をするのよ。いつの日かあなたたちを殺しにいくフランス人に育てるのよ!」p.5542023/12/23

きりぱい

6
叢書第19巻。『大地』で農村を後にしたジャンが兵に復帰。進軍するも引き返し、ひたすら野営地から野営地へ移動だけで疲労してゆく前半は、とにかく飢えがついて回る。攻撃に突入する後半は、負傷負傷で何気にショッキング。全編戦争で気の晴れない読み心地の中、固く育つ男同士の友情がうるわしい。弾丸を恐れず夫を探し出しとりすがる妻や、愛しい手紙を握らせたままにしておく恋人と、愛情でも鼻につーんと。普仏戦争の惨敗は気付けばパリ・コミューンとの攻防になり、最後まで迫力と哀切で胸に迫る。ああ、「パリは燃えている」。2011/05/20

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