渋く、薄汚れ。―ノワール・ジャンルの快楽

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  • サイズ B6判/ページ数 286p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784845906888
  • NDC分類 778.04
  • Cコード C0074

内容説明

アートの背後に蠢く闘争、スキャンダル、猟奇殺人まで…ワイルドサイドを歩け。

目次

第1章 どんな末路が待とうが、犯罪の弾ける楽しさ、悲しさこそが。(S.キューブリック、F.シナトラから映画化権強奪―『現金に体を張れ』;ウィージー印死体効果―『パブリック・アイ』&『罠』;マイケル・ルーカーは「現場の顔」だ―『ブラウンズ・レクイエム』 ほか)
第2章 ノスタルジーがすべてを、押し流していく(エドワード・ホッパーを足がかりにノワールに踏み込む―ノワールとの相互影響;ある日、小さな町のダイナーに黒いスーツの男が姿を現わす―『殺人者』、Out of the Past’『ヒストリー・オブ・バイオレンス』;スモール・タウンの悪夢―『疑惑の影』 ほか)
第3章 地べたを這う目線が、ノワールの世界を準備した(加賀まりこの上唇のめくれ、あるいはプチ自伝2―『乾いた花』ほか;キューバン・ノワール、アメリカ逆進攻―『追放者』を読む;ネオ・ノワールアート派の凱歌―『バーバー』 ほか)

著者等紹介

滝本誠[タキモトマコト]
評論家。1949年1月19日、京都府生まれ。府立福知山高校を経て、東京芸術大学美術学部芸術学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

15
一度ノワールというジャンルに魅了されてしまった人間にとって、滝本誠の文章は金言の数々と映るはずだ。そういう意味でリトマス試験紙的な本でもある。つまるところノワールとは一つの世界観なのだ。絶えず世界の裏側を垣間見ようとするマゾヒスティックで下世話な想像力に支えられた世界観とでも言うのだろうか。その意味でナルシズムと安定性に支配されたハードボイルドとは似て非なるジャンルだなぁと改めて思わされた。ノワール的感性の赴くままに、領域横断的に(脱線気味に)映画から美術、音楽を語る独特の文章がクセになる一冊。2018/01/18

Schunag

14
幾度も拾い読みしてきて、はじめての通読。日米英で1980年代末からクラシック・ノワールの再評価がはじまり、90年代のネオ・ノワールの勃興につながっていったが、起爆剤であったバリー・ギフォードの動きに共振することで、日本で真っ先に「ノワール」を察知/紹介したのが滝本誠で、ミステリマガジンでの彼の洋書レビューがなかったら、私がノワール小説に耽溺するタイミングはタランティーノ出現以降になっていた気がする。トリビアと脱線が高密度で蛇行する語りの名人芸には嘆息するばかり。2022/02/11

カトキチ

2
やや読みにくさを感じる文章だが、慣れるとその情報量やゴシップ、妄想力に圧倒され、映画評以前に読み物としておもしろい。特に『現金に体を張れ』はどこまでが本当なのか分からないが、プロデューサーやら版権うんぬんの話、さらに当時のヒット作の傾向から引っ張ってきて、へぇーとうなづくばかり。『オールドボーイ』を餃子サスペンスと言ったり、過去が襲ってくるというのが実にノワール的だと語る『ヒストリーオブバイオレンス』など、独特の視点がユニーク。暴走しているが、しっかり原作やら元ネタからあたるなど映画評としてはまっとう。2012/10/15

nora

2
取り上げられている作品ももちろんそうだけど、それを語る滝本さんの文章もすごくかっこいい。章題が「どんな末路が待とうが、犯罪の弾ける楽しさ、悲しさこそが。」とか「地べたを這う目線が、ノワールの世界を準備した」とかね、しびれるなあ。2010/09/14

午後

1
フィルムノワール、1940年代から50年代までアメリカで流行った、いくつかの特徴を持つ白黒の犯罪映画についての本なんだけど、そのはずなんだけど、脱線の仕方がとても面白い。ハリウッド・バビロン的なゴシップネタから、エルノイなどの犯罪小説家との関連、画家エドワード・ホッパーがフィルムノワールの画作りに与えた影響とか、映画だけにとどまらない色んな情報が、作者のたくましい妄想力によってするすると紡がれていく。作者の半生?なんかが語られる章まである。肝心の映画の話は、フィルムノワールの定番はもちろん、狭義のフィルム2017/02/04

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