内容説明
ハルは海辺の小さな村に生まれた。「おや、ほくろのあるいい手じゃ。きっとこの子は器用だし、幸せになるよ」とハルの手をみて、みんながいった。ハルは小学生になった。手を使うことならだれにも負けなかった。折り紙でもお手玉でもあやとりでも。みんながハルの手をうらやましがった。ハルが15のとき、戦争で父さんが死んだ。まもなく母さんも病気で亡くなった。ハルは男の人に交じって必死に働き、家族の生活を支えた。そんなハルのただ一つの楽しみは、年に一度の盆踊りだった。
著者等紹介
山中恒[ヤマナカヒサシ]
1931年、北海道小樽市に生まれる。早稲田大学第二文学部卒業。児童文学作家として活躍する一方、戦時史、患者学、医療問題、教育問題など、幅広い分野のテーマについて執筆している。著書は200点以上にのぼる。第6回日本児童文学者協会新人賞、第21回サンケイ児童出版文化賞、第6回巌谷小波賞、第38回産経児童出版文化賞、第31回野間児童文芸賞、第38回エクソンモービル賞を受賞。映画化された作品(大林宣彦監督)に「転校生」「さびしんぼう」「はるか、ノスタルジー」「あの、夏の日」がある。テレビドラマ化された作品に「あばれはっちゃく」(テレビ朝日)、「どっちがどっち」(NHK)など多数。神奈川県在住
木下晋[キノシタススム]
1947年、富山県富山市に生まれる。画家として活躍するかたわら、東京大学工学部建築学科、武蔵野美術大学、新潟薬科大学で講師を務めている。16歳のとき、自由美術協会展に最年少で初入選し、注目を浴びる。やがて、画家の麻生三郎、美術評論家の瀧口修造、本間正義らの知遇を得る。全国各地とパリ、ニューヨークなどで個展やグループ展をひらく。2004年に、「六本木クロッシング展」(東京・森美術館)、「四国八十八ヵ所遍路文化と美術展」(東京・日本橋高島屋、大阪、横浜、京都巡回)、「木下晋展―鉛筆画による迫真の超リアリズム」(富山・朝日町立ふるさと美術館)、「木下晋展―深いものの本質と意味」(長野・駒ヶ根高原美術館)がある。パブリックコレクションとして、富山県立近代美術館、宮城県美術館、湯殿山注連寺、目黒美術館、富山県教育委員会、信濃デッサン館、本間美術館、致道博物館、町立久万美術館、池田20世紀美術館、新潟市美術館、高知県立美術館、ベネッセアートサイト直島、新潟県立万代島美術館、佐喜間美術館などに作品が収蔵されている。東京都在住
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