感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハンギ
3
ロールズは「正義論」を書く前にいろいろな正義についての論文を発表しており、それをまとめて翻訳されたもの。八編収録。ロールズはまず功利主義的立場に基づいて、共同体主義をとき、その立場から正義を抽象的な観念ではなく、現実の人間関係や経済関係に根ざした物として定義するようだ。「格差原理」という言葉は恐らくは、格差を是認するけれども、それは貧困者の福祉を同時に向上させないと、高所得者の所得は増やしてはいけないという観点だった。所々やや保守的な思想が目立つ。翻訳はあまり良くないと思う。2013/08/20
greenman
3
本書はロールズのいくつかの論文を集めた論文集で、必ずしも「公正としての正義」だけで編集されているわけではない。ロールズは「公正としての正義」としての正義を2つの元論から議論する。まずすべての市民に基本的人権を平等に与える原理に同意すること。そしてこの原理を全体の幸福を最大化しようとする試みよりも優先すること。本書では「正義論」の前に書かれた論文が収録されているので、有名な「無知のベール」という誰もが無知の中で選ぶ原則は、平等で公正なものであるという考えが固まっていない。ただすでに近い考えを確認できるだろう2011/02/14
Jack Amano
2
大学生の時に読んで以来の再読。読んだことは覚えていたが、内容は全く忘れていたので、新鮮だった。書かれた時代を考えると、彼の言う格差原理は、共産主義的な結果としての平等は認めないが、機会の均等であったり、一定の範囲内の格差であれば、それは正義の中で認められるもの、というところで収まっている。90年代からよく言われていたトリクルダウン理論と似ているが、その後トリクルダウンの無い格差拡大が広がっているので、今の現状は彼にとっては懸念でしょう。彼の考え方はマイケル・サンデル教授に受け継がれている。2021/08/08
しーぽん
0
よくわからなかった。