内容説明
孤細胞(シングル・セル)のように生きる一大学院生と女子学生の共生と別離―単独者の生の論理を思考実験的に追究し、人間の永遠の孤独を豊かな筆力で描き切った最新長篇小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もっさん
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卒業を控えた大学生の主人公は、集中して論文を書くために山奥の旅館に滞在する。そこで謎の女、稜子と知り合い、何となく東京で同棲のようなものをする事に。早くに両親を失った主人公の過去話や、大学の教授・下級生とのいざこざ話等を交えつつ、孤独な若者同士の奇妙で奇怪な関係が描かれる。主人公も稜子も、孤独だし孤独で居たいと思っている反面、どこかでお互いを求めあっている。こいつら面倒2011/07/30
wm_09
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人間所詮ひとり、という論理が恋をした主人公の中で崩れていく過程が面白い。けどやっぱり、冷たいほど淡々と生きてきた彼が稜子によって、新たな生活に目覚めるなんてちょっと頂けない。蟻だけを友達に、あくまでも一人で冷たく彼には生きていて欲しかった。人間はみんなシングル・セルだって言いながら。 2010年の予定は泉鏡花文学賞制覇に決まり。(ローウェル嬢)2009/10/03