神は「憲法」に宿りたまう―増補「憲法大好き」宣言

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  • サイズ B6判/ページ数 229p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822804787
  • NDC分類 323.14
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「神は細部に宿りたまう」という。真理は細かな具体的事物に表れるという意味だと思うが、「神は憲法にこそ宿りたまう」と言い換えることもできるだろう。日本国憲法は世界に誇るべき財産である。(佐高 信)

まえがき〈佐高信〉

巻頭対談 憲法グローバル化運動をしよう〈佐高信vs.福島みずほ〉

第1部 世界でたった一つの憲法
1 戦争のできる国、戦争をする国なんてゴメンだ〈福島みずほ〉
2 日本国憲法の逆襲〈佐高信〉

第2部 いまこそ憲法を〈佐高信vs.福島みずほ〉
3 世紀末国会を笑殺する
4 日本国憲法は21世紀を切り開く!
5 政治家は原理を貫き、外からの評価を重視せよ
6 企業社会に憲法を生かす

あとがき〈福島みずほ〉

付録 日本国憲法/大日本帝国憲法
初出一覧

まえがき   佐高 信

「神は細部に宿りたまう」という。真理は細かな具体的事物に表れるといった意味だと思うが、「神は日本国憲法にこそ宿りたまう」と言い換えることもできるだろう。
 日本国憲法は世界に誇るべき財産である。
 湾岸戦争の時、日本に対して、日本人はカネは出すけれども血は流さないという非難が昂まった。その時、高知のある高校生が、好きだったアメリカのコラムニスト、ボブ・グリーンに手紙を書く。もちろん、英語でである。日本には憲法九条があるから軍隊を出さないのだ、と。それを読んだグリーンがそのことをコラムに書き、全米で配信された。
 それを読んだアメリカ人たちから、その高校生のところに多くの手紙が寄せられたという。そこには、異口同音に、「知らなかった」「アメリカにも九条がほしい」といった言葉が並んでいた。何ものにもまして、この九条をこそ世界に“輸出”すべきなのではないか。
 私は2000年7月30日付の『神奈川新聞』のコラムに「息子を国に売った母」と題して、次のように書いた。

〈今年もまた八月十五日がやってくる。敗戦から五十五年目の夏である。一九四五(昭和二十)年生まれの私にとって、生きてきた阪の網島警察に放り込まれていた。そこに召集令状がくる。
 彼を捕まえた特別高等警察の人間が、召集が来たから家に帰れ、と言った。
 「勝手にしょっぴいておいて、勝手に帰れでは困っちゃうなと思ったんですよね」
 三國は私との対談で、こう笑わせていたが、「戦争はあまり好きじゃないし、意味なく人を殺すのは自分の理屈に合わないような気がして」三國は大阪駅から故郷の静岡をめざさず、貨物列車に乗って西に向かった。そして、山口県の小郡まで来た時に母親に手紙を書く。
 いろいろ迷惑をかけることになるかもしれないが、自分は朝鮮に渡って中国に逃げる、と。その手紙を母親が特高に見せて、何とか穏便にと頼んだのだろう。三國は佐賀県の唐津で捕まったが、咎められることもなく、静岡へ送られて、軍隊に入り、中国に渡った。
 その前に会いに来た母親は、なぜか、三國を正面から見ようとはしなかった。それで、三國は、自分は母親に売られたんだな、と思うのである。
 幸い、生きて還って来た三國は、母親を責めることもなく一緒に暮らしたりしたが、亡くなった時、母親の亡骸の入った柩を抱いたら、背筋を冷たいものが走った。
 それで、ああ自分は、自分を

目次

巻頭対談 憲法グローバル化運動をしよう(佐高信vs.福島みずほ)
第1部 世界でたった一つの憲法(戦争のできる国、戦争をする国なんてゴメンだ(福島みずほ)
日本国憲法の逆襲(佐高信))
第2部 いまこそ憲法を(佐高信vs.福島みずほ)(世紀末国会を笑殺する;日本国憲法は21世紀を切り開く!;政治家は原理を貫き、外からの評価を重視せよ;企業社会に憲法を生かす)

著者等紹介

佐高信[サタカマコト]
1945年生まれ。慶応義塾大学法学部卒業。郷里の高校教師、経済誌の編集長を経て、評論家となる

福島みずほ[フクシマミズホ]
1955年生まれ。東京大学法学部卒業。参議院議員(社会民主党党首)、弁護士(第2東京弁護士会所属)、学習院女子大学客員教授、「女性の家HELP」協力弁護士。環境・人権・女性・雇用・平和を5本柱に捉え幅広く活動中
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