内容説明
経済の不安定性は、複雑な市場経済がいわば生来的に備えている欠陥なのであって、政府の政策的誤りや外生的なショックにその原因を帰することができるものではない。そしてその不安定性のメカニズムの鍵を握るものこそ資本主義経済に内生的な景気循環をもたらす「投機的金融」、「ヘッジ金融」そして「ポンツィ金融」なのである。―一貫して「金融不安定性仮説」を提唱してきた著者が、自らの主張を歴史的、理論的に検証し、経済を安定化させるための政策アジェンダを提示する。
目次
第1部 序論(経済過程、動向、および政策)
第2部 経験的事実(1975年、不況とまで落ち込まないまでも深刻であった景気の落ち込み―大きな政府が与えたインパクト;不況ならざるも深刻であった1975年と1982年の景気後退―最後の貸し手の介入が与えたインパクト;戦後の金融不定定性の発生)
第3部 経済理論(理論の展望;現在の標準的理論―ケインズ以後の総合;資本主義経済における価格と利潤;投資と金融;金融取引契約と不安定性)
第4部 制度の動学的運行(資本主義経済での銀行業;インフレーション)
第5部 政策(政策序論;改革に向けての検討事項)
付録A 資金調達構造
付録B 消費者物価と実質賃金