みんなの保育大学
内臓のはたらきと子どものこころ (増補新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 217p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784806745662
  • NDC分類 376.1
  • Cコード C0040

出版社内容情報

人間のからだのなかの植物であり、宇宙リズムと呼応する内臓と心の関係について解説した名著に、著者の人間存在への根源的追及のエッセンスと呼ぶべき2編、「胎内にみる四億年前の世界」「忘れられた25時--バイオリズムと眠りのメカニズム」を増補した。
子どもの心を育て、豊かな感受性を目覚めさせる「内臓感受」の育成について、また“自分”ができてくる3歳児の話、乳幼児の間でも深刻な“夜型”の問題についても取り上げる。

【書評再録】
●AERA「時代」欄(2000年4月17日号)=身体に言葉や思考以前の「こころ」のありかを見た三木論は、そこに時空間の広がりを開く。
●暮らしと健康評=内臓の感受性がいかに心の発達のために大切であるかを、広い視野の中で眺めている。おとなのつごうで子どもの本当の要求を無視したりして、かえって子どもの発達を疎外している場合が多いなど、保育するうえでの反省を喚起する一冊。

【読者の声】
■女性(33歳)=非常に新鮮で、子育て中の現在、とても大切なことを学べたと思う。
■女性(22歳)=人間の「心」とは、実は、体の内臓などの感覚と密接に結びついていて、この機能を大切にすることが、発達段階で大切ということがわかり、人間というものの理解について目から鱗が落ちました。感動いたしました。
■男性(31歳)=この本は、学生の時に一度、目を通したことがあった。なつかしく感じられた。10年はたっていると思うが、今、本当に手にすると、いろいろと体のことを考えさせてくれる本であったのだと、もう少し早く気づいていればと、うれしく思いました。
■女性(21歳)=どの本もわかりやすく、科学的に書いてあるので納得しながら読んでいます。大学でもこのように教えてくれるといいのにと思ってしまいます。
■女性=保健婦として乳幼児の発達を支援するための身体のメカニズムの理解に役立ちます。さくら・さくらんぼの保育内容も知りたくなってきます。

【内容紹介】本書「序--斎藤公子氏」より
 三木先生は“生命の記憶”ということばをよくいわれる。われわれの遠い遠い祖先が感覚したものが、われわれの本能をつかさどる部分にしまいこまれていて、フト私たちの心にその記憶がよみがえる--海辺に立ってきく潮騒の音がなぜか私たちの心になつかしさを生むのは、--胎児のときにきいた母親の血液の流れる音に似ているためか--意識下にある遠い遠い時代に感受したものがよみがえる、そんな世界をとてもとても大切に考えておられるのである。
 子育ての上に、こんな遠いことも大切に大切にして、ひとりひとりの子どもを育ててほしい、という先生の人間性のやさしさが、この本をよむ人たちの心にひびいてほしい。いやきっとひびいてくれるものと、私は信ずる。

【内容紹介】本書「広がる三木成夫の世界--後藤仁敏氏」より
 本書は、三木成夫氏の最初の著書、いわば処女作である。さくら・さくらんぼ保育園での講演を原稿化したもので、読みやすく、「三木節」とでもいうべき独特の自由奔放な話しぶりによって人びとを魅了している。同時に、それゆえに論理の飛躍するところもあり、そこがまた考えさせるものがあって、多くの読者に親しまれてきた。
「胎内にみる四億年前の世界」は、ヒトの発生初期の胎児の顔面形態の変化に、脊椎動物5億年の進化の歴史の再現を見た、その感動の体験を述べたものである。三木氏のみごとな胎児顔面の写生は、「個体発生は宗族発生の象徴劇である」とする氏の思想を圧倒的な説得力で理解させている。「胎児の世界」のエッセンスである。
「忘れられた25時--バイオリズムと眠りのメカニズム」は、人間のバイオリズムと健康の問題を、深く論じたものである。私たち人間に見られる「夜行性」や「冬眠」体質は、海に起源した生命40億年におよぶ長い進化の歴史に根ざしたものなのだ。そして、このように根の深い不調への対策として、からだのリズムを充分に理解したうえでの“愛の鞭”をタクトとしてふることが大切である、と結論している。
 私は、この二つの文のなかに、三木氏の人間存在への根源的追及と、からだの不調に悩む子どもたちや若い学生たちへの深い愛情を感じる。この増補版が、旧版と同様に、教育・保育・保健・医療などにかかわる広い人びとに親しまれることを期待したい。

【主要目次】
▲▲第1章・内臓感覚のなりたち=膀胱感覚/「オシッコ!」/快と不快/内臓不快/口腔感覚/顔と口と舌/正常な哺乳/“なめ廻し”/胃袋感覚/生活のリズムと空腹感/夜型と朝型/日リズムと年リズム
▲▲第2章・内臓とこころ=内臓波動--食と性の宇宙リズム/内臓は小宇宙/食と性/生命と宇宙リズム/内臓系と心臓/神経と血管/“はらわた”を見直す/こころとあたま/心のめざめ--内臓波動と季節感/生物の二大本能/動物のこころとヒトの心/季節感とこころ
▲▲第3章・こころの形成=指差し・呼称音・直立--満一歳/よみがえる生命記憶/指差し/立ち上り/言葉の獲得--象徴思考/“もの”と“なまえ”/言葉の起源/声--鰓呼吸のなごり/三歳児の世界/天翔ける象徴思考/概念思考--自己の誕生/三歳児のこころ--桃源郷の世界
▲▲第4章・質問にこたえて=夜型の問題--かくされた潮汐リズム/再現について--形態学の実習
▲▲第5章・胎内にみる四億年前の世界=「フカの顔だ……!」/古生物学の教えるもの/つわり--上陸の形象
▲▲第6章・忘れられた25時--バイオリズムと眠りのメカニズム=「不調」と眠り/夜型人間の正体/陰陽の体内時計/子宮の中の上陸劇/人類も“冬眠”する/不調の対策--愛の鞭
▲▲付言・内臓の感受性のゆたかな子に

目次

1 内臓感覚のなりたち
2 内臓とこころ
3 こころの形成
4 質問にこたえて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

23
ごく最近になってついに内臓、腸の働きの重要性が注目されてきたが、時代の先駆けはどこにでもいる。日本での先駆けはこの「保健の先生」かもしれない。今年、「考える人」という雑誌で知ってからこの人の本を楽しませてもらってきた。この雑誌の休刊と共に、この人の一連の本を読了する。少しさびしい。2017/05/25

nizimasu

5
この内蔵感覚という世界観は、子供の頃にべろべろなめてモノを認識することにも繋がるという話は目からウロコ。人間のサイクルは他の生き物同様、食の時代と性の時代を経て、死を迎える話など、人間はやっぱり脳の感覚もあるが、そこにある内蔵感覚をもとにすべしというのが読めば読むほど自分の身につまされる。いかに、自分の脳的世界観なりについて、もっと内蔵感覚も磨いていきたいなと思わせてくれるのだ。素敵すぎる2014/03/03

みけのすずね

4
三木先生による内臓感覚のなりたちやリズム、こころのはたらきなどのお話。軽やかな語り口で歴史や進化、背光や植物世界などとの結びつきの発想にふれられ、いつもはつながらない回路がつながってまさに腑に落ちた、の連続。もちろん裏づけもあるけれど、こういう風に考えられれば豊かだなあとも思う。とくに、動物は感覚・運動で変化に振り回されるが、植物は宇宙リズムとのハーモニーに全身全霊を捧げつくしているというところに引き込まれた。2013/11/26

長沼良和

1
羊水の中での胎児の成長が、生物の歴史をさかのぼる進化の過程をたどっていたことを超解りやすく丁寧に解説。心は生物的リズムによって変動するという説も興味深い。2011/06/26

hotatehon

1
解剖学者として人体のしくみを目の当たりにしていくうちに、胎児の成長と地球上の生物が辿ってきた数億年の進化の歴史に形状上の類似点を見出した(つまりある種の奇跡を見た)著者だからこそ力説できる自論がまぶしい。2009/04/11

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