きのこの生物学シリーズ<br> きのこの利用

きのこの生物学シリーズ
きのこの利用

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  • サイズ A5判/ページ数 154p/高さ 21X15cm
  • 商品コード 9784806723271
  • NDC分類 657.82
  • Cコード C0045

出版社内容情報

●●●本書「はじめに」より=今なぜきのこブームなのだろうか。飽食の時代、老齢化の時代は、食と健康への強い関心を呼び起こす。マツタケやトリフのように、美味の対象として珍重されるものも、もちろんあるが、きのこはダイエットファイバー(食用繊維、栄養上役に立つ繊維質)として見直されているのである。きのこの多糖類に抗腫瘍活性があることが発見されたことも、大きな要因であろう。頻発する異常気象。工業的発展のひずみとしての環境汚染や環境破壊。砂漠化の進行。資源は無限ではないのだという考えが、人びとの心の奥深くに沈潜している。現在、植物バイオテクノロジーに熱い視線がそそがれている背景には、このような時代への不安感があるように思われる。そしてきのこも、ここ数年の間に、重要な生物資源の1つとして、植物バイオテクノロジーの中に根をおろしてきた。この点を考えるなら、今回のブームが単なるブームに止らず、地に足のついたきのこ研究が生まれる端緒となることが期待できるかもしれない。ここで忘れてならないことは、自然界におけるきのこの役割であろう。きのこは、自然界での物質循環における単なる還元者以上のものであることは、本シリーズの中でくわしく述べられているので本書では触れないが、還元者の役割にも注目しておく必要がある。最近、農工複合体論や、アグロホロニクスなどの議論が盛んであるが、これには生態学的アプローチと資源再利用という、二つの理念が根底にある。きのこによるリグニンの再利用はそのポイントである。きのこによるセルロースやリグニンの分解は、今後とも重要な問題であろう。本書ではきのこの利用を三つの側面から紹介したい。第1は、食物としてのきのこである。きのこの液体培養についても概略を述べる。なお、培養については、本シリーズの「きのこの実験法」を参照されたい。第2は、きのこによる物質生産である。この分野は、対象がきわめて多岐にわたるので、医薬的話題を中心に、トピックス的に取り上げるに止めたい。第3は、きのこの自然界での役割に基づく利用である。きのこ類の酵素についても、少しくわしく述べる予定である。本書ではきのこの利用を、きのこの成分や、きのこによる物質生産研究の現状を中心として紹介することになる。これらがきのこを理解する一助ともなれば望外の幸いである。●●●  【主要目次】▲▲第1章・食物としてのきのこ=自然食・健康食としてのきのこ/嗜好食としてのきのこ  ▲▲第2章・きのこの栽培=世界の栽培きのこ/きのこの栽培形態/キクラゲの菌床栽培/菌根菌類の栽培  ▲▲第3章・きのこの培養=きのこの液体培養/物質の生物交換/化学修飾  ▲▲第4章・医薬品としてのきのこ=生薬/きのこの成分/非蛋白態アミノ酸/核酸関連物質/抗生物質/多糖類/抗ウイルス物質/酵素阻害剤/有機酸/その他の生理活性物質/幻覚物質と毒物質/きのこによる重金属の濃縮  ▲▲第5章・きのこの加水分解酵素=酵素とは/プロテアーゼ/β-1・3-グルカナーゼ/セルラーゼ/ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ/きのこの分解群と加水分解酵素  ▲▲第6章・きのこの酸化還元酵素=臨床酵素として用いられる酵素/ポリフェノールオキシターゼ/リグニン分解  ▲▲第7章・分解者としてのきのこ

内容説明

いまやきのこは「秋の味覚」としてばかりでなく、バイオテクノロジーの発達をうけ、産業化が注目されている。本シリーズは、多くの未知の分野が残されたきのこを、基本から利用まで多面的に捉えた。

目次

1 食物としてのきのこ
2 きのこの栽培
3 きのこの培養
4 医薬品としてのきのこ
5 きのこの加水分解酵素
6 きのこの酸化還元酵素
7 分解者としてのきのこ