外注される戦争―民間軍事会社の正体

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  • サイズ B6判/ページ数 261p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794215765
  • NDC分類 390
  • Cコード C0031

内容説明

「民間委託」の流れはいまや軍事の分野にも及んでいる。その主役が「民間軍事会社」と呼ばれる企業群だ。戦闘地域での物流サービスから捕虜の尋問、メディア対策、はては実際の戦闘行為にいたるまで、そうした会社が提供するサービスは多岐にわたる。イラクでは、なんと一国の軍隊と同規模の人員を民間軍事会社一社で派遣している例まであるのだ。本書は、イラク戦争以降にわかに注目されている新ビジネスの実態を、企業側および最大の顧客である米軍関係者への取材をもとに描いた刺激的なノンフィクションである。

目次

第1章 襲撃された日本人
第2章 戦場の仕事人たち
第3章 イラク戦争を支えたシステム
第4章 働く側の本音
第5章 暗躍する企業戦士たち
第6章 テロと戦う影の同盟者
第7章 対テロ・セキュリティ訓練

著者等紹介

菅原出[スガワライズル]
東京財団リサーチ・フェロー。昭和44(1969)年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6(1994)年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリストを経て現職。米国を中心とする外交、安全保障が専門で、日経BPオンラインに「安全保障インサイド」を連載中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

16
民間軍事会社(PMC)の実態と現状を、多角的、網羅的に調査したルポルタージュ。類書を知らないのだが、本書はかなりなレベルにあるのではないかと思う。PMCは、後方兵站は言うに及ばず、クロアチアの例などでは、国家的な軍事戦略にまで及ぶようだ。すなわち、クロアチアを旧態依然としたワルシャワ条約軍から、最新鋭のナトー軍に再編したというのだ。また、PMCの側から見ることで、イラク戦争がアメリカにとって「必然」ではなく、「選択」の1つであったことも明らかになっていく。こんなところまでと驚嘆することばかりだ。2012/08/27

手押し戦車

13
戦争も一種のビジネス産業になっている。戦争コンサルタント人質交渉コンサルタント、あくまで相手と戦う人に対して助言をしたりする。身代金にも保険事業が参入されている。更に戦争を請け負って戦闘で成果を見せて地元の軍隊を訓練を請け負う営業戦闘まである。尋問、メディア情報までアウトソーシングして戦争PR会社が有り、殆ど全てが税金動く。水増し請求書合戦が繰り広げられる。需要が広がるにつれ新しい知識労働がいる。。経験したことの無い分野は人間の知識と創造によって作られる。どの分野も一番手は新鮮で利益が出る。企業革命!2014/04/24

coolflat

8
PMCの台頭の背景として、まず冷戦崩壊によって、各国が軍隊や情報機関の規模を縮小し、更に予算の制約のために国家の安全保障に関わる機能を民営化し始めたという事情があった。だがこの他にも、テロなど新しい脅威の出現や安全保障のコンセプトが変化した事により、政府の一機関である軍隊だけでは対応しきれないほど安全保障政策のカバーする範囲が拡大し、必要とされる能力も細分化・専門化しているという事情も存在する。例えば細分化・専門化されたPMCの中に、人質解放・身代金交渉専門や、新興国軍隊相手の軍事訓練専門のPMCがある。2015/02/02

えふのらん

5
経済活動のひとつとしてPMCを解説した良著。民間人虐殺などのスキャンダルや特殊部隊出身者で構成されていることから、戦争の犬として語られることの多い民間軍事会社だが、その実態は補給物資の運搬(所謂トラック野郎)及び警備、誘拐交渉、戦闘訓練といった地味な活動がほとんどで、(自衛権行使という例外はあるものの)戦闘行為にはリスクが高すぎるため会社として手を出すことができない、また建前としてもジュネーブ条約上認められていない。絵に描いたようなグレーゾーンに存在しているというのが興味深い。2015/08/16

グーテンベルク

4
911によるイラク戦争では、膨大な軍人が戦地に投入されたが、多国籍軍だけでは人手が足りず、PMC(民間軍事請負企業)が助っ人として米軍の補助業務を行っていた。PMCは米国政府や民間企業などと正式に契約を結び、元特殊部隊で活躍していた民間人を傭兵として雇い、莫大な利益を上げたという。PMCに所属する「社員」が死亡しても、米軍としての死傷者には数えられず、給料は高額ではあるものの、年金や負傷した場合の生活保護も受けられない彼らは都合のよい「捨て駒」として、イラク戦争に投入された。(続く)2016/07/15

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