棗椰子の木陰で―第三世界フェミニズムと文学の力

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  • サイズ B6判/ページ数 293p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791762811
  • NDC分類 929.76
  • Cコード C1010

内容説明

爆撃されるイラクの街に生き茂った棗椰子が、世界を変える夢の力を呼びさます―第三世界の女性たちの声に耳を澄ましフェミニズムを大きく動かした著者が、文学や映画をはじめとして、出来事の深みに降りゆく想像力をもつさまざまな試みのなかに、新たな世界への扉をさぐりあてる。

目次

1 文学に何ができるか(棗椰子の木陰の文学;出来事の低みで)
2 だれが語り、だれが読むのか(「二級読者」あるいは「読むこと」の正統性をめぐって;私、「私」、「「私」」…M/other’s Tongue(s)
ハーレムの少女とポストコロニアルのアイデンティティ)
3 文学の第三世界(知の地方主義を越えて―新たなる普遍性に向けて;ふたつのアラビア語、あるいは「祈り」としての文学;アリーファ・リファアト、女の生/性の闇を描く;第三世界における女性と解放―フェミニズム、脱植民地主義、ナショナリズム)
4 暴力と抵抗を証言する(クロニクル1997~2006)
5 夢みる力(パレスチナの夢;ワタン(祖国)とは何か)

著者等紹介

岡真理[オカマリ]
1960年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科助教授。専攻は現代アラブ文学・パレスチナ問題・第三世界フェミニズム思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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にたいも

4
サアダーウィー『零度の女』と『千夜一夜物語』の比較が興味深い。また、サアダーウィー『アラブ女性の素顔』「英語版への序文」で、西洋がアラブ・イスラーム社会の女性を一方的に家父長制の犠牲者としてのみ同定することに警告を発し、〈西洋のフェミニストは自社会、すなわち先進工業社会が第三世界の女性に対しいかなる抑圧的状況をもたらしているかをまず問題にすべきである〉と主張していること、そして、この序文が、〈テクストがいつでも読者の恣意的な読みによって横領される危険のあることの示唆〉であるともとれるという指摘が心に残る。2024/03/16

tellme0112

4
従軍「慰安婦」の話に触れられていたが、先日読んだ「裁かれた戦時性暴力―「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」とは何であったか」を思い出した。韓国側の主張は欧米のフェミニズム論だけではない、という指摘がようやく分かりかけてきた。また、かつて、ナヌムの家に拙い素人通訳で同行し(行きがかり上放っておけず、覚悟してはいたが)、ハルモニにスバっと言われた痛い思い出が蘇った。「あれ」は、「これ」のことだと思った。簡単に「同じ女性として」とか言えない重い歴史と日本人としての責任があるよなあ・・・と改めて思う。2014/04/22

綿

3
今パレスチナ・イスラエルで起こっていることを常に念頭に置きながら、新装版を読んだ。2023/10/30

Bevel

1
第三世界フェミニズムの他のそれと違うところは、圧政、貧困なども含めた抑圧の多重性を扱うというところ。その枠組みの中で、文学は、文化や慣習といった掟を変革させるものとして機能しており、その機能は、文学を何かのための道具とすることなく、文学そのものに接近することを通してでないと、働かない。と、まとめてみた。2009/10/29

小丸

0
文学を享受する者として、我々はテクストと正しく向き合えているか。2013/09/16

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