内容説明
事故によって性格が変わってしまった男性たち。自分が死んでいると思いこんでいる老女。…テレポーテーションがうまくいかず、自分が二人になってしまう話。ある日突然、自分の頭の中が透けて見えるようになった青年の話。…長年の臨床体験で得られた症例と日々の生活、そして豊かな想像力をもとに、「意識」とはなにか、「自分」とはだれかを探る。
目次
第1部 暗闇を飲み込む(さまざまな人生;顔の奥にある空間;タツノオトシゴとアーモンド ほか)
第2部 石のなかの輝き(われ思う、ゆえにわれ亡し;ウォッカと唾液;ボディーアート ほか)
第3部 水たまらねば月もやどらず(幽霊の木;ロバート・ルイス・スティーヴンソンが見た夢;ヴードゥー・チャイルド ほか)
著者等紹介
ブロックス,ポール[ブロックス,ポール][Broks,Paul]
プリマス大の神経心理学上級臨床講師かつ名誉コンサルタント。Telegraph、Prospect、Grantaなどに寄稿
小野木明恵[オノキアキエ]
大阪外国語大学英語学科卒業
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感想・レビュー
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yuri9976
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症例の案内もさることながら、物語がすばらしい。私にとって広大な心理学のフィールドで一番馴染みのある領域は認知心理学(ユーザインタフェースから画像認識まで、この分野が絡んでくるんだぞぉ!)だけど、意識の連続性や自己とはなにかという永遠のテーマに近づくきっかけはこんなところにもあった。そして、子供の頃熱が出て寝ているときに天井が近づいてきたり小さな柱の節目に吸い込まれそうに感じるあの感覚は「変視症」ということが分かったりして、神経心理学、恐るべし。この分野の最初の本がこの本で嬉しい。2012/04/25