内容説明
エンピリカルな構築主義の再興へ。新たな調査研究の実例を紹介し、エスノメソドロジーやルーマンとの対話を手がかりに、構築主義論争の決着を提示する。構築主義的研究の将来像を探る、待望の新版。
目次
1 事例研究編(クレイム申し立てのなかのレトリック―行方不明になった子どもという問題の構築;DSM‐3における心的外傷後ストレス障害(PTSD)―診断と疾病の政治学における事例
ストーカー行為の自然史―関係についての非対称な認識の展開過程
「推定無罪」と科学知識の社会学―成員の達成としての実在論VS.懐疑論)
2 理論編(オントロジカル・ゲリマンダリング―社会問題をめぐる説明の解剖学;構築主義論争の帰結―記述主義の呪縛を解くために;システム論的臨床社会学と構築主義;フィールド研究の倫理とエスノメソドロジー―社会リアリティの変化と社会理解ループの変化;構築主義アプローチの到達点―エンピリカルな見地からの課題と展望)
著者等紹介
平英美[タイラヒデミ]
京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。滋賀医科大学医学部教授。専攻は現象学的社会学
中河伸俊[ナカガワノブトシ]
京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。大阪府立大学人間社会学部教授。専攻は社会問題の社会学、社会理論、ポピュラー文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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富士さん
2
方法論的な細部は改めて精読しないと理解は難しいと感じました。しかし、構築主義者が、しかもあのキツセさんが!本質主義的な神の眼特権を自分たちに認めようとしていたとは。正確には認知し得ない存在や本質を語ることを止め、多様な認知の集合としての正しさを跡付ける試みだからこそ、基礎となる個人の認知に絶対の尊厳を認めざるを得ず、どんなちっぽけな良心も神を騙る多数者の正義に蹂躙される謂れのないことを示すものとして構築主義の信奉者になった者からすると、学者の認知が個人の認知と質的に違うと言われると裏切られた気分でした。2014/01/30